「物流ウィークリー年間記事大賞2013」決定!
2013年度の物流ウィークリー年間記事大賞(選考委員長=唐澤豊・神奈川大学名誉教授)が決定した。経営者部門では、ヒサゴサービス(東京都板橋区)と理想科学工業の取り組みを紹介した「荷主が求めるもの」に決定。ニュース部門では、「あいまいな弁済ルール、破損した商品は誰の責任」が選ばれた。
受賞した2社に対し、物流産業新聞社から表彰状とトロフィーを贈呈。さらに、ヒサゴサービスには副賞として、シーユーピー株式会社から「理想のユニフォーム(100万円相当)」、ロジ・コンビニエンス株式会社から「ストレッチフィルム1年分」が贈られた。
ヒサゴサービス「夢のユニフォーム」選び
荷主と連携した取り組みが評価され、「荷主が求めるもの 連携がもたらすメリット」(2014年1月13日号掲載)で2013年度「物流ウィークリー年間記事大賞」に輝いたヒサゴサービス(砂崎亨明社長、東京都板橋区)に記者が突撃。副賞としてシーユーピー(岡山市北区)から贈られた「夢のユニフォーム」選びから、実際に手に取った喜びの瞬間を追いました。
昨年の10月6日、カタログを前に皆さん、真剣なまなざしです。鮮やかな色、斬新なデザインに「いいね」「かっこいい」との声。ページをめくり、デザインや機能性をチェックしていきます。
「汚れが目立たないのがいい」「メッシュだと通気性がよさそう」「雨の日を考えると水をはじく素材」「やっぱりオーソドックスがいい」など、多彩な意見が飛び交います。最終的にどんなユニフォームが選ばれたのでしょう。
今年1月14日、到着したユニフォームの箱を開け、緊張の瞬間。中から顔をのぞかせたのは冬用のブルゾンとパンツでした。
さっそく試着する砂崎純常務。「これは動きやすいですね。体にフィットして着心地が良いです」とにこやかな表情。シーユーピーの佐藤範和課長は「ひざ周りにタックをつくり、ゆとりを持たせています。動きやすいとストレス軽減にもなります。冬用のライナーを袖なしにしているのも動きやすさを考慮しています」と説明。
ライナーはキルティング素材で取り外し可能。単衣で3シーズン着られるという、このブルゾンに「中に防寒すると、制服が統一できるのでよいですね。官公庁のオフィスなど配送先によっては、寒くても上着を脱いで作業していましたので」と、感慨深げな様子の砂崎常務。
「実は今回、明るい色、最新のデザインにしようという意見もあったんです」。最終的に紺色にする決め手となったのは、物流のプロとしての高い意識だった。「エンドユーザーと接する機会が多いので、いつの時代も好感の持てるシンプルなものがいいということと、〝運ぶ製品が主役、自分たちは黒子に徹する〟という意味合いもあります」と話す砂崎常務。機能性を重視して選んだという。
安全面を考慮し、反射材も付けた。運ぶ際に商品を傷つけないよう、ジッパーを覆うデザインを採用。フォークリフトの鍵を携帯するためのフック付きで、袖にはペンが入る工夫も。ブルゾンの左胸と背面には会社のロゴが入っている。
「ドライバーさんもまた新たな気持ちで仕事に臨めるのでは」という佐藤課長の問いかけに、「皆の気を引き締めるためにも良い機会」と答える砂崎常務。「社員からいつ届きますかと聞かれるくらい、みんな到着を楽しみにしていた。早く試着させてあげたい」と目を輝かせる。
エントリーNo.7「荷主が求めるもの 連携がもたらすメリット」
株式会社ヒサゴサービス
誠実に、実直に取り組む
「今回の受賞はなんだかこそばゆい」と話すヒサゴサービスの砂崎亨明社長。「やるべきことをいつも通り行うのみ」と謙遜するが、お客様に、仕事に、誠実に向き合い、実直に取り組んできたことが、荷主からの信頼につながっている。
「うちは中小企業。なんでもやらないと生き残れないということを、社員にはずっと言い続けてきた。自分の車は自分で管理する。自分で自分の職場を守ることを考えたら一生懸命になる。経営者はそういう空気を作ってあげるのです」。
斬新な発想組み合わせ
配車・運行管理を担当する砂崎純さんは、お客様の製品がいかに売れるかを考えながら、1日70~80件の配車を行っているという。理想科学工業の営業担当とセッションして「組み方を変えれば、1台分効率化できる」と提案することもしばしば。「経営者の視点で見れば、儲けが減るわけですから普通なら一喝するところなのでしょうけど」と笑う社長。しかし、こうした配車担当の仕事ぶりを見て、一回限りの仕事をしても仕事が続かないということを、実感している。「信頼関係のもとで仕事をもらうためにはお客様に協力しようという姿勢が必要。彼のやり方は間違っていないと思います」。
もともと砂崎運送だった会社名を、ヒサゴサービスに変更したのには深い理由がある。 定年退職後に1台のトラックから事業を始めたご両親「ヒサエ」さん、「セイゴ」さんの覚悟を忘れないため、そして世襲制ではなく、将来の道筋をつけられる人が代表になるべきとの砂崎社長の思いからだ。「今までのやり方と若い人たちの斬新なアイディア。組み合わされば、もっともっと会社はよくなっていくと思います」。
理想科学工業株式会社
深い信頼関係を構築
今回の受賞に驚きの表情をみせる曽場隆物流部長。というのも「当たり前のことを当たり前にやってきた」という自負をお持ちだからです。曽場部長のおっしゃる“当たり前”―荷主と物流事業者との深い信頼関係を構築し、日々の仕事に取り組むこと―は、物流業界ではなかなか難しい。それを実現していることが今回の受賞につながったことを伝えると、照れくさそうに笑みを浮かべていらっしゃいました。
印刷機の配送を任せる
そして「私たちの製品を待っているお客様がいます。しかし私たちには運ぶすべが無いのです。荷主側の取り組み方針に対して物流事業者として何ができるかを一緒になって考えてくれるような、信頼のおける物流事業者がパートナーであることはとても大きい」とも。関東では、ヒサゴサービスが同社の営業担当が販売した印刷機の配送をおこなっているが、“大切な顧客に納品をする”ことに関しては、ヒサゴサービスに信頼してお願いできるといいます。「3年前に私が物流部に異動してきたときと比べ、物流の重要度は増しているように思う。当初は、はじめて耳にするような専門用語に馴れることに戸惑うことも多かったけれど、今は心から面白い仕事だと思いますね」。
講評
理想的な物流のあり方
選考副委員長 鈴木 邦成 氏(日本大学教授)
「荷主と運送事業者が密にコミュニケーションを取り良好な関係を築く」というテーマで書かれた本記事は、理想的な物流の在り方を示した非常に良い事例と言える。 物流コスト削減が至上命題になりつつあるいま、「運賃値下げは、運送事業者にとって大きな痛手となるが、両者が連携して取り組んだ結果、物流費のトータル的な見直しにつながった」という結果も出ている。ヒサゴサービスは、「コスト削減の提案を行う」だけでなく、荷主の利益に繋がると判断すれば、他社も紹介するという。「利益ばかりを追求するのではなく、荷主が今、何を求めているのかを理解しようとする姿勢」は、多くの荷主が求めているパートナーとなる運送事業者の姿ではないだろうか。
一方、荷主側の理想科学工業も、運送会社のドライバーを単なる下請け会社のスタッフ扱いせず、自社の社員として見ていることも重要なポイントだ。「社員を大事にできない運送会社では荷主の思いも大切にしてもらえない」という考えは、すべての物流に通じるものと言える。 3PLの台頭などによる荷主の物流部門の弱体化が問題となりつつあるが、本記事は、荷主、物流事業者双方が参考にすべき内容と高く評価できる。
物流ウィークリー 年間記事大賞とは?
物流・運送・ロジスティクス業界の健全な発展と社会への業界の取り組みを広く社会にアピールすることを目的に、前年度に発行した「物流ウィークリー」新聞紙面に掲載された全ての記事のうち、優れた企業・物流経営者へのインタビューと話題となったニュースを選び表彰します。
対象部門・選考方法
「経営者部門」「ニュース部門」の2部門で、それぞれ1本ずつ記事大賞を決定します。
2013年4月1日号〜2014年3月24日号までに紙面に掲載された全記事のなかで、読者アンケートで評価の高かった記事(各10本)を選定。それらを、9名の選考委員に記事ごとに5点満点で評価いただき、合計点が最も高かった記事が記事大賞となります。
なお、インターネットからの投票数が最も多かった記事に対し、10点を加算します。
選考期間
2014年6月2日〜2014年6月15日(2週間)
=受け付け終了しました。たくさんのご投票ありがとうございました。
大賞の特典
【企業・経営者部門】対象:該当記事に登場する企業・経営者
表彰状、記念トロフィー
副賞①:理想のユニフォーム製作/100万円相当(協力:シーユーピー株式会社)
副賞②:ストレッチフィルム1年分(協力:ロジ・コンビニエンス株式会社)
【ニュース部門】対象:該当記事を執筆した記者
表彰状
受賞結果
物流ウィークリー2014年6月下旬号及びHPで発表します。