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物流ニュース
カーレントサービス 「ロジストラクション」構築、M&Aで売り上げ100億円目指す
2025年6月20日
運送に設置や据え付けなど付加価値を付けたサービス、「ロジストラクション」事業を手掛けるカーレントサービス(保坂高広社長、東京都大田区)。同社では、成長戦略の1つにM&Aを掲げており、積極的に物流会社のグループ化を進めている。
2013年を皮切りにこれまで7社をグループに迎え入れており、5月には兵庫県西宮市にあるジェイカス(加賀澤一社長)をグループ化、8社目のM&Aを成功させた。
同社が掲げるロジストラクションの完成に向け、着実に歩みを進めるなかにあって、保坂社長は、「当面の目標として売り上げ100億円を目指す」と意気込みを語っている。

1972年に協和梱包運輸から分社化され、設立された同社だが、当時は親会社の荷物を配送する業務が主軸だった。
しかし、時代の流れとともに親会社のメインである梱包の仕事が減少、売り上げ月200万円と全盛期の10分の1まで減ると、その影響は当然、同社へも及ぶ。7000万円の営業赤字を計上した。
赤字を計上すると金融機関も渋くなり、同社はリスケをしなければならないところまで資金繰りも追い込まれていたという。
そんななか、2008年に保坂社長が父親に代わって社長に就任すると、組織づくりに着手する。当時は組織らしい組織ではなく、指揮系統などないに等しい状況だったという。
同社長は、自社の強みや弱点、喫緊の課題などを徹底的に見直したという。「運送だけでは成長は見込めない、収益性も低い、そして競争優位を構築することは難しい」との結論に至ると同時に、向かうべき方向性が決まった。
のちにロジストラクションと命名するが、「運送以外の付加価値の構築」、まさにそれだった。
運送を軸に、その関連サービスを付加していくという指針ができると、同社長はその軸足をM&Aに向ける。
「付加価値を一から自社で育むのは難しいうえ、成長戦略が描けない」とし、付加価値を外から入れることを決めた。
13年に精密機械を輸送するマシン輸送をグループ化し、精密機械の輸送と据え付けのノウハウを吸収する。
18年には、機械輸送を手掛ける京南運送をグループ化した。同社の買収によって、カーレントサービスが持つ通信工事部材の搬入搬出のノウハウが活かせるようになった。
そして20年には3社を相次いで買収する。4月に渡辺梱包運輸をグループ化し、流通加工のノウハウを吸収すると、翌5月には鷹栖運輸機工をグループ化し、重量物輸送のノウハウを得る。さらに10月に新垣運輸をグループ化し、トレーラ輸送のノウハウを吸収する。
昨年にはキデン運輸のグループ化に成功、同社にないクレーン付き車両やアコーディオンのトラックをそろえた。
さらに今年2月には、佐藤重量の関東圏の事業を引き継ぎ、重量物輸送の拡充を行い、そして5月にジェイカスをグループ化し、関西以西の倉庫業への参入を図った。
一見関係性のない会社のM&Aに見えるが、単にやみくもに買収してきたわけではない。
同社の相次ぐM&Aの背景には、ロジストラクションに見合うか否か、どれだけ相乗効果が見込めるか否か、そしてしっかりとした成長が見込めるか否かなど、同社長自身の細やかな計算とそれに基づいた考えがある。
同社長は、今後も成長戦略の柱にM&Aを置くという姿勢は変わらず、「ロジストラクションの完成に近づくなら積極的にグループ化を進める」としている。
◎関連リンク→ 株式会社カーレントサービス
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