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物流ニュース
トラックの落下物 事故、渋滞、信頼失墜に直結 「片付け上手なドライバーはリスク少ない」
2026年1月19日New!!
道路上で発生する、車両からによる落下物の数々。時にそれは事故や渋滞を誘発し、命に関わる重大案件にもつながりかねない。国交省発表のデータによると、令和4年度に全国の高速道路で処理された落下物は30万件超で、1日平均約850件。およそ1分40秒に1件の割合で処理が行われている計算だ。
データが示す現状
統計を紐解くと、最も多いのはプラスチック・布類で全体の約3割。積荷を覆うシートなどが風圧や固定不良で飛散し、視界を奪ったり車に巻き付いたりする危険がある。
次いで野生動物との接触である「ロードキル」が約2割、自動車部品類が約1割、さらに木材類がこれに続く。
これらの数字はトラックだけに限ったものではないが、運送現場に目を向ければ落下物を生じさせるその背景には、構造的な事情もある。時間に追われるなかでシート掛けや固縛が甘くなること、経験不足や高齢化による技量の差、資材や部品の劣化を見逃す点検不足など。

高速道路の走行環境は時速80〜100キロの風圧と振動が常にかかり、わずかな不備が数十キロ、数百キロ先での落下につながる。防止策は地道ながらシートやロープ類の確実な取り扱い、定期的な部品交換と点検、荷役指導の徹底となるが、一つの落下物が重大案件につながる前に、日頃の予防策や「慌てない」「急がない」を前提とした労働環境の構築やマインドの醸成が求められる。
運送経営者の声
「落下物が原因で事故が起これば、その責任は落とした側にあるので細心の注意が必要」と語るのは、静岡市駿河区に本社を構える運送事業者。同社では日頃から落下物の予防に注意を払っているが、「一番怖い」と警戒するマーカーランプについては「ステーの強いものを使うようにはしているが、これといった対策は見当たらないのが実情」とのことで、加えて、道路上では「落下物」として扱われる野生動物との衝突についても、「飛び出されたら避けようがない」と語る。

また、愛知県で平車をメインとした運送を手掛けるベテラン経営者は作業関連のツール類をボディーの前方へ配置してさらにそれをシートで覆うなど対策をしつつも、「落下物の発生は『ドライバーの個人差』も影響する」と指摘。経験上、「片付け上手なドライバーは、そうしたリスクも少ない」と振り返る。
命に関わる落下物
部品や小物の落下だけでも高速道路などでは大きなトラブルへと発展する可能性は高いが、トラックの「落とし物」で命に関わる代表例といえば、タイヤの脱輪。大型車両のタイヤはサイズも重量も一般車のそれとは比べ物にならず、一度、脱輪を起こして道路上を舞うようなことになれば文字通り「暴れる凶器」となって、後続車や歩行者などに甚大な被害を与えてしまう。
国交省が公表する令和5年度の大型車による脱輪事故は142件と前年をやや上回り、うち人身事故は2件。約61%が11月〜2月の冬季に集中しており、約54%が車輪脱着作業後1か月以内に発生。
使用の本拠の位置別1万台あたりに換算すると北海道・東北・北陸といった地域での件数が突出して多く、さらに「約94%が左後輪」というデータは見過ごせない傾向だ。
イメージにも直結
また近年、問題視されている道路脇に散見される尿入りペットボトルも人為的なものではあるが「落下物」の一つ。休憩の取りづらさや長時間運転といった環境が背景にあるとしても、旧態依然としたネガティブなイメージの刷新を図りたい現状においては、運送業界のモラルを疑問視されかねない留意すべき事象と言える。
一連の落下物は不注意や油断から生じやすいが、その影響は事故や渋滞といった道路上のトラブルだけにとどまらず、業界全体の信頼を損なうことにもつながる。落としているのは、物だけではない。
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