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本当の点呼とは…
2011年11月11日
先日、中部運輸局が管轄する各運輸支局に通達を出しました。
内容は管内の運送会社による追突死傷事故が急増しているので運行管理の徹底を図るように、というものです。特に気になったのが休日明けの乗務前点呼で「睡眠時間」を確認し、適切な指導監督をすることを求めていることです。これは「過労運転」による事故を予防するために大変重要なことです。しかし案外、運送会社でのチェックや指導がおろそかにされているのではないでしょうか?
「昨日は何時に寝て、今日は何時に起きましたか?」。たったこれだけのことなのですが、意外にできていません。ドライバーが嘘の申告をすればそれまでですが、管理者からドライバーに話しかけること、これ自体に価値あるのです。
この些細な会話によって、そのドライバーがいつもと違った様子かどうか。実は、この違いを見極めるのが運行管理者の腕の見せ所なのです。普段の点呼で元気なのに、今日は少し様子が違うな。いつもはあまり元気ないのに、妙に今日はテンションが高いな、等々。いつもと比べてどうか。これを観察することが本当の点呼なのです。
睡眠時間を正確に把握しようとする努力も確かに大切です。しかし、睡眠時間を聞く過程でいろんな情報を読み取ることのほうがもっと重要なのです。
昔の名医は患者の言うことだけでなく、顔色、肌つや、目の表情や声の張りなどあらゆる情報を見ながら診察をしていたそうです。決してデータだけで診察をしていなかったようです。今は「データ」重視の時代ですが、やはりドライバーと会話をしながら情報をキャッチする、という原点を忘れてはいけませんよね。
笑い話ですが、私があるキオスクのカフェでカフェオレを注文しました。ところが出てきたのはブラックコーヒーでした。私が店員に説明したら、「カフェオレのボタンを押したのですが」という呆れた回答が返ってきました。データやマニュアルだけを鵜呑みにして、実際の目の前のことを確認しないでいると、こんな結果になってしまいます。
「点呼簿の記入に力を入れるのではなく、目の前のドライバーの観察に注力すること」。過労運転による重大事故を防ぐ大切な取り組みですね。
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