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新トラック運送経営のヒント(13)お客第一主義と法令順守
2012年3月30日
お客様第一主義。運送業界に限らず、どの業界でもよく耳にする、もっともらしく聞こえる耳障りのいい言葉です。
この誰も反論できない「お客様第一」という言葉。賢明な社長ならピン!ときたと思いますが、まさに「犯罪」や「重大事故」の真の原因ともなる、恐ろしい言葉でもあります。ここ数年の偽装事件を思い起こせば分かりますが、すべて共通するのは「お客様に安く、しかも良いものを提供しなければ生き残れない」という強迫観念によって起きたということです。では、運送業界はどうでしょう?
荷主企業に気に入られようとするあまり、無茶な仕事を受け、ドライバーに長時間運行をさせた結果、重大事故が発生。こんな話は枚挙にいとまがありません。そうならないために社長がすること。それは「荷主企業の要請」と「法令順守」のバランスを取ることです。
荷主企業、中でも運送会社でない真の荷主企業は運送業界の法律に無頓着なことが多いです。法令違反をしても大したことにならないと軽く考え、長時間の荷待ちをさせる荷主も中にはあります。これからは荷主に対して、法令違反による重大事故で運送会社が「営業停止」や「許可取り消し」などの致命傷になる、という情報を戦略的に発信していくことが必要です。
荷主が運送会社の場合は、ある程度理解してくれるかもしれません。しかし、この場合でも下請け会社の自己責任は直接的には元請けにはありませんので、法令違反を承知の上で輸送要請をしてくるケースがあります。法令違反となる輸送依頼を受けてしまうのかどうか。下請けとして、かなり悩むところです。いきなり元請けに対して、「この輸送は法令違反になるので引き受けることができません」と断ることはなかなかできないでしょう。
問題は、今は受けるとしても、今後どのように改善していくのかを元請けと話し合いができるかどうかです。もし全く聞く耳を持たない元請けだったとしたら、社長としてどのように経営判断をしたらいいのでしょうか? そのまま仕方なく続けていくのか。あるいは今の仕事を続けながらも別の荷主を開拓するのか。あるいは…。
「お客様第一主義」、この美辞麗句に掻き消されそうな「法令順守に基づく安全」、この二つの命題をどのように両立させていくのか。
中小運送会社の社長の「正念場」です。
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