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ほど遠い「協力関係」 一方的値引きなど下請けいじめの実態
2013年2月4日
荷主、元請けとのパートナーシップの構築は業界の重要課題の一つ。しかし、構造的に運送事業者は荷主との関係で弱い立場に立たされているのは周知の事実。「一方的な値引き要請」や「物品の購入強制」など、なかなかなくならない。業界を取り巻く「下請けいじめ」などについて調査した。
公正取引委員会が平成18年度から現在までに公表した下請法勧告は99件あり、うち19件が物流企業に関係するものだった。用いられる手段としては、「割戻金」「事務手数料」「金利手数料」として代金を減額させるものや、「物品を購入」させるものが一般的となっている。また、物流業界以外でも「物流コスト」と称して下請け代金を減額させる事例もある。製造修理委託に関して「物流および情報システム使用料」と称して68人に対し2768万円を減額した事例や、菓子製造でも「物流手数料」などと称して下請け代金6920万円(156人)を減額させている。物流コストは絶対に必要なものであるにもかかわらず、値引きされやすいという側面を併せ持っていることがわかる。
全ト協の「日本のトラック輸送産業2012」によると、平成23年度の優越的地位の濫用行為の審査事件の処理概要では、措置件数が全体で55件にのぼり、同21年度比で2.1倍。同23年度に物流取引を対象に行った注意件数は、小売業者による納入取引に次いで多く、行為類型でみると減額によるものが半数を占めた。
中小企業庁から「下請けかけこみ寺」を委託されている全国中小企業取引振興協会によると、「毎年4000〜5000件の相談が全国である。運輸業の相談割合はそのうちの5.8%ほど」という。また、中小企業庁が平成24年に実施した「大企業と中小企業との取引の実態等に関する調査」では、中小企業6275社のうち、「代金の減額」を受けた割合は6.2%、「協賛金などの負担要請」は4.3%、「購入・利用の強制」は2.8%あった。しかし、取引先から不当と考えられる行為に対して、第三者に相談したのは6.4%だけで、93.6%は「相談していない」という。(小西克弥)
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