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新トラック運送経営のヒント(75)「荷主の勧告制度」の活用を
2013年7月19日
「荷主に対する勧告制度」。この制度をいかにうまく活用できるかが、経営環境を改善するカギになるでしょう。
現在の勧告制度は、荷主に対して過去3年間に「警告的内容の協力要請書」が発出されていることが条件のため、タイムリーに荷主に勧告を行うことができず、実効性に乏しいものとなっていました。今回の改正案では、過去3年間の警告実績に関係なく、条件を満たせば迅速に発動する内容となっています。勧告発動のキッカケとして特に気になるのが次の二つです。
一つ目は、実運送会社に対する監査の際に運送契約書や関係者の証言で、当該運送会社が行った法令違反に、荷主が主体的に関与していると疑われる場合。特に来年3月に義務化が予定されている「運送引受書」を監査時に確認すれば、ある程度の内容が把握できてしまいます。荷主の勧告には、「運送引受書」が足がかりになることも考えられます。義務化になったら、経営環境改善のために確実に作成するようにしたいものです。
二つ目は、同一の荷主と取引関係がある複数の運送会社が、同じ法令違反を行っていた場合。当然、荷主にメスが入るべきです。これらのキッカケから、荷主が優越地位や継続的取引関係を利用して次の行為を行った場合に勧告発動の対象とされます。
a.非合理的な到着時間の設定
b.やむをえない遅延に対するペナルティの設定
c.積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼
d.荷主管理の現場で、常時手待ち時間が生じ、実運送会社からの要請があるにも関わらず、改善措置を行わないこの四つのいずれかのケースに該当すると、勧告発動の対象になる予定です。
まともな荷主ほど、勧告や社名公表は避けたいところです。この辺りの心理状況を逆手にとりながら荷主の協力を取りつけ、労働時間を守れる環境に改善できるかどうか。「荷主の勧告制度」を生かすも殺すも運送会社次第です。
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