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若手かベテランか 人材採用の方法
2014年4月23日
消費増税前の繁忙期が過ぎて忙しさは軽減されたものの、常にドライバーが不足する運送業界。「採用してもすぐに辞めてしまう」「募集しても人が来ない」など、少子高齢化や中型免許問題が拍車をかけ、「人材不足」対策は欠かせない課題になってきた。
若いドライバーを事業者の多くが欲しがる中、あえて若手を積極的に採用しないと話すのは、大阪府東大阪市の運送会社の管理者。「若い人は経験が浅いので教育が必要だが、うちのような小さな会社では教育するお金も余裕もない。また、若い人は『指示を待ち、自ら考え行動しない』というイメージがあって、採用を考えていない。反対に、高齢ドライバーは意欲があり、ちゃんと仕事をしてくれる。若い人は細かいことから教えなければならないので大変」というように、知識とノウハウを持つ高齢ドライバーの活用も欠かせないようだ。ただ、世代交代の時期にさしかかり、若手の育成が急がれる。「今は教育マニュアルはないが、若手育成のために作っておかなければ」と話す。しかし、良い人材が意外なところから見つかることもあるという。同管理者は「市から生活保護受給者のあっせんをしてもらい、3月末から雇っている。運送会社での勤務経験者ということもあり、助かっている」と話す。
一方で、人材の育成にはマニュアルに基づいた教育がいいとは限らない、と話すのは同門真市の運送会社社長。「特別な教育はしていない。先輩の背中を見て若手ドライバーは育つので、質のいいドライバーになる」という。
大阪市淀川区の運送会社社長は「昔は若手を育てる余裕があったが、コスト増や運賃単価の下落など零細企業では育成が難しく、社風が合う・合わないという点もある。中型免許がないうちから育てるという手もあるが、若手は免許を取って何年かすると辞めてしまう。若手の採用は難しい」という。
運行管理者試験のテキスト出版と試験対策講習会を行っている大阪市中央区の行政書士は、ドライバー教育について「外部に教育を頼むのもいいが、社長にドライバーを教育する力がないことが問題を引き起こしている」と指摘する。その上で「ドライバー教育の前に社長が日々勉強し、時には顧客の立場に立って教育することで会社を魅力あるものにしてほしい」と持論を話す。
さらに同氏は若手の可能性について、「若い人がどんどん経営に参画すべき。『自分が会社を元気にしていく』という気持ちで頑張ってもらいたい。運送業界も若手が活躍できる部分をつくっていかなければならない。若い人が欲しいといっておきながら、実は業界自ら拒否しているように思える」。
経験は浅いが将来の会社をひっぱっていく若手か、それとも経験豊富で即戦力となるベテランの採用か。事業者は改めてドライバー教育・採用について考えていく必要がある。未経験者でも受け入れる企業体制づくりと、業界全体の地位向上、適正賃金は今後不可欠となってくる。運送業はまだまだ荷主に対する発言力は弱い。行政と業界が一体となって、適正運賃が収受できるよう全体で動き出すべきではないだろうか。
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