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射界
2016年10月24日号 射界
2016年11月4日
自分の意見に自信のない人は、つい他人の言葉を引用したり、流行語を拝借したりする傾向がある。自省を含めて「そうだ」と納得がいく。書き出しに「×△氏の言葉を借りれば…」とか「IT革命に乗り遅れたら明日がないといわれますが…」と枕にして語り出す。何かを借用して自分の意見を印象づける手法である。
▲この手法、色んな場面で出くわすが一見、もっともらしい印象を与える効果がある半面、裏を返せば自分の意見に自信のなさを見せつけているとも言える。それを避けるには、言いたいことを自分の言葉でいう手法を養わなければならない。自分はどう考えているか、どのように伝えたら効果的かと、トコトン突き詰めて考えることが大事だ。事実と体験に基づいた事例を示せば説得力は増す。▲端的に言えば、自分の言葉で経験した話を例示して語ればよい。確かに、他人の言葉や教えを借用することは手間がかからず簡単かも知れないが、所詮、自分の意見は含まれていない借り物に過ぎない。借り物であれば説得力に欠けるのは当然だ。ましてや意見のオリジナリティーは感じられない。常識的で普通の言葉でよい。巧みな比喩や引例は要らない。自分の言葉が大切だ。
▲述べる意見が、自分の言葉で語られる限り、その中身にオリジナリティーが生まれる。たとえ表現が平易であっても人々は「聴く耳」を持って、しっかりと受け止めてくれる。もちろん、意見に同調するかどうかは別次元の話。しっかりと耳で受け取め、冷静に中身を咀嚼してくれる。そのうえで賛否の価値判断をしてもらえるだろう。文章も同じだ。自戒しながら実践していきたい。
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