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射界
2018年9月3日号 射界
2018年9月10日
社会や生活環境が変化しようとも変わらないのが人間関係だ。良好な人間関係を保つには「自分には厳しく、人には寛容に」が基本原則だが、組織の中で指導的立場にある者の心構えとして求められている資質でもある。だが部下に対して寛容な姿勢で臨むと言っても、それには一定の限度がある。
▲限度を超えて寛容の度合いが極端になると、組織の中に緊張感が失われ、馴れ合いの空気が蔓延して甘えの構造をつくり上げることに繋がる。当然、そこには部下に対する指示命令の権威が色褪せ、期待通りに使いこなせなくなり、指導者としての責務が果たせなくなる。経営者が愛読する『孫子』の兵法にも〝寛〟と〝厳〟とのバランスが大事と説いている。
▲ひたすら部下の立場を慮って優しく接することが悪いというのではない。昔と違って今は、「褒めて育てよ」の時代相だが、部下を可愛がるだけで命令できず、少々のルール違反があっても咎められなくなる。これでは組織力を発揮できるパワーすら色褪せて無力化してしまう。〝ビジネスは戦い〟という修羅場認識さえ薄れ、空虚な日々を送るだけになろう。
▲部下に対して「叱る」時は叱り、「注意しなければならない」時には言葉を尽くして注意深く指摘する…この程度の厳しさは、いつの時代にも必要。〝寛〟だけでは戦力はアップしないし、〝厳〟だけでもパワーアップしないだろう。厳しすぎれば、面従腹背の姿勢となって活力は衰退する。リーダーは〝寛〟と〝厳〟のバランスについて常に留意しておきたい。
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