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射界
2019年9月23日号 射界
2019年10月7日
社会で働く環境が成熟するに従い、同じ目的を持って働く人々のチーム化を促し、効率化を目指す。複数の人が同時に同じ仕事をすることで、共同して働く効果をアップしようとする考え方だ。そのメリットは大きいがデメリットもある。能力の差と関係なく意図して手を抜く人が現れるからだ。
▲チームワークの効率化に潜むデメリットを警告したのは、フランスのリンゲルマン氏(農業技術の研究家)で、20世紀初頭に農作業の臼(うす)を大勢で押す作業の中で気付いて発表。一人の力を100%とした場合、二人になると93%、三人なら85%、八人では49%に低下すると実験結果を発表。なぜ人は集団化すると、一人当たりの働きが鈍るのか。
▲色々な理由が考えられる。一つは集団化に伴う一人ひとりの責任感の希薄感覚が働くからと言える。神輿(みこし)担ぎを想像すれば理解が早い。大勢の中に混じって、一人くらい肩に力を入れて担がなくても大丈夫…という人が現れても神輿は立派に担がれている。掛け声を張り上げて肩の負担を軽くしようと〝手抜き〟しても、まずバレることはないだろう。
▲社会の成熟化が効率化を目指し色々な手法を編み出しているが、その陰で集団による効率化を隠れ蓑に〝手抜き〟が横行しては元も子もない。人は環境に流れやすい。周囲に〝手抜き〟があれば、同調しやすい動きは避けられない。対応策の一つとして成果主義という手法も実施されたが一長一短ある。〝集団化すると怠け者が現れる〟…人間社会の宿命かも。
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