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ブログ・野口 誠一
第366回:借金で規模だけ大きく
2012年6月25日
営業努力が少しずつ実を結び、納入量だけは確実に増えていきました。生産設備を更新したおかげで量産が可能になり、品質も従来より向上したこともあって、コンビニからの評価が高まり、売り上げは順調に伸びていきました。平成7年から毎年、1億円ずつ売上高が増えていきました。
平成10年、私は首都圏に店舗展開する大手コンビニチェーンとの取引に成功しました。これでコンビニチェーンとの取引は3社、その総店舗数700余り。そこへとどこおりなく商品を納入するには、とても従来の日勤体制だけでは間に合いません。私は夜間生産を加えて2便体制に移行しました。
その結果、年商12億円、従業員130人と、規模だけは一流の域まで膨れ上がりましたが、中身は伴わず、平成8年以降、赤字続きでした。要するに、借金で規模だけは大きくなったものの、経営内容は火の車だったのです。どうしてそんなことになったのかといえば、理事長をはじめ私も他の役員も、計数管理のまったくできない烏合の衆に過ぎなかったからです。
一例を挙げれば、製造業にとっては生命線ともいうべき製造原価の算出も、いい加減なものでした。原材料価格に50%程度の粗利益を上乗せし、それを納入価格にしていたに過ぎないのです。電気料金も水道料金も、その他もろもろの細かいコストもいっさい無視のドンブリ勘定でした。到底、経営といえるようなものではなかったのです。
会社は製造部門と販売部門を別法人にしていましたが、平成12年、わたしは販売会社の代表取締役に就任しました。といっても、新しい経営戦略や方向性を打ち出せるような社長ではありません。要するに経営者ではなかったのです。そして「大変化」が訪れました。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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