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ブログ・馬場 栄
第17回:研修時の労働時間
2014年1月2日
ある経営者とお話ししていた時のこと。「うちは毎週研修を行って、安全運行を徹底させている」と言うので、「研修時の賃金は支払っているのですか」と問うと、「研修だから支払っていない」との回答。「研修といえども労働時間ですから、支払わないと不払いになる可能性はあります」と話すと、頭を抱えておりました。今回はこの研修のあり方について話します。
最近、運輸業の経営者から、安全運行への効果的な取り組みについてご相談を頂くことがあります。もちろん、研修などで話し合うのは効果的な方法でありますが、会社が半ば強制的に行っている研修ですと、賃金の支払いは免れられません。仮に賃金を支払わない研修を検討するのであれば、自由参加形式にしなければならないでしょう。しかし、自由参加形式では効果が期待できませんので、強制的な研修しかないように思います。では、この研修の賃金は、いくら支払わなければならないのでしょうか。
業務中であれば通常の賃金が発生し、業務外であれば時間外の割増賃金が発生します。仮に月額30万円のドライバーであれば、時間外1時間あたり約2200円の賃金を支払わなければなりません。1回2時間で1か月あたり研修手当だけで1人あたり約2万円近くになります。しかも、給与の高いドライバーなら、研修手当も必然的に高額となります。
そこで対応策として、研修手当について今一度、雇用契約書で見直しを図ります。契約書の中に、研修を受ける場合の時間単価を明記するのです。例えば、1時間当たり業務時間内なら850円、業務時間外なら1100円と記載します。金額の根拠は、各地の最低賃金から算出することがお勧めです。そうすれば、月額30万円のドライバーも50万円のドライバーも同一賃金で研修を行えます。また、定額残業制を導入しているのであれば、その中に含めることも可能です。
安全運行への効果的な取り組みについて、次回、ある会社の事例をお伝えします。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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