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ブログ・馬場 栄
第59回:年次有給休暇の買い取り
2015年8月13日
前回、書籍「就業規則の作り方」の中から契約社員の年次有給休暇についてご案内しましたが、今回も引き続き、年次有給休暇について別の視点からご案内します。
年次有給休暇は、6か月継続勤務した人が、労働日のうち8割以上出勤すると与えられます。これは、退職しようとする社員にも、もちろん与えられる権利です。そして、退職者の当然の心情として、せっかくなので年次有給休暇の権利を全て使って退職したいという思いがあり、まとめて申し出てくるケースもよくあります。この時、出社しないとはいえ、籍はまだ会社にあるので一定のリスクが会社に残ってしまいます。例えば、プライベートでの飲酒運転で交通事故を起こしてしまった場合、会社の名が世に知れ渡り、マイナスのイメージを与えるかも知れません。また、コスト面からみても年次有給休暇取得により、退職日が翌月にずれ込んでしまった場合、社会保険料を1か月余分に支払わなければなりません。
そこで考えられる対策として「年次有給休暇の買い取り」があります。会社が年次有給休暇を買い取るという話をよく聞きますが、本来、「年次有給休暇の買い取り」は労働基準法で禁止されており、社員の年次有給休暇を買い取って、日数を減らしてしまうことはできません。ただし、退職間近になって、社員に未消化の年次有給休暇が残っている場合には、これを会社が任意に買い取ることは認められています。この場合、会社は時期的に取得不可能な社員の年次有給休暇を善意で買い取ってあげているだけで、社員にとってはむしろ利益となるからです。
また、買い取り価格についても、とくに法律で定められた基準はないので、会社が決めた買い取り価格が平均賃金に対して著しく低い場合でも違法とはなりません。買い取り価格は退職者との話し合いの上、折り合いをつけることとなります、極端な話、1日あたり1000円程度で買い取っても問題はないのです。
(保険サービスシステム株式会社・社会保険労務士・馬場栄) -
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筆者紹介
馬場 栄
保険サービスシステム株式会社 社会保険労務士
年間約300社の経営者の相談・アドバイスを行っている。中小企業の就業規則や残業代など、幅広い労務管理のアドバイスに高い評価を得ている。 -
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