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ブログ・花房 陵
顧客満足の物流
2007年6月24日
●真実は会社の外にある
物流はコストダウンが重要といつも言われますが、業務効率化によって内部コストを下げても、
収入が減ってしまっては運営ができません。顧客にとっての物流コストが我々の収入だから、
顧客のコストダウンを進めれば進めるほど苦しくなります。
とはいえ、我々の事業を進めるための給料や設備、何よりすべてのコストは顧客のお財布
にあります。そこから頂戴するのがビジネスで、何が正しいかと言えば顧客が正しい。すべて
はお客様の側にあって、我々の都合などは聞いて貰えません。
お客様の言い分をすべて呑み込むなら本当の顧客満足経営なのでしょうか。
それは違います。同じサービスを他社より安くするなら、自分の首が絞まります。お客様の
満足は私たちへの支払い、売上そのものです。売上が伸びないで、顧客満足とは笑止千万。
本末転倒です。
新たなサービス、お客が考えもしなかったサービスを次々と打ち出して、きちんと対価を
頂戴してこそ顧客満足に徹したことになります。自らが考え、自らが生み出し、そして顧客
や他部門への奉仕と対価を求めることが顧客満足経営です。
●売上が伸びないときに、どんな苦労を覚悟するか
売上は顧客の支持を表しています。売上が伸びない、というのは安い料金で事業を進めて
いるからではなく、お客様が少ないからでしょう。売上は単価と数量の掛け算で成り立つの
がすべての事業ですから、デフレであろうとインフレであろうと、売上を追求するには単価か
数量、新たなサービスを生み出すか、既存のサービスに付加するモノを生み出すしかありま
せん。
売上から内部経費を引いたモノが利益で、利益は知恵や競争、工夫の結果と言えるでしょう。
現場の改善が進めば進むほど、品質やコストが下がるのはそれを目的にしているからです。
知恵の結果は内部コストの削減につながり、同じ売上でも利益が増えるように働くものです。
顧客満足経営とは、このように収入を顧客の視点で考え、利益を自らの足元を固めることに
徹底すれば、減収増益、増収増益というベストな状態を常に生み出すことができるのです。
●どのように頑張っているかは、空気で分かる
現場の運営が顧客や他部門の視点に立っているかは、雰囲気や思想、言葉や行動に表れ
ます。心構えは言葉に表れ、言葉は行動につながるからです。商品を大切にして、床に直接
置かない習慣は商品を大切にする思想と顧客への奉仕がみなぎっている証拠です。
顧客のコストダウン要請に応えるために、同時に我々の売上を追い求めるには、常に新しい
サービス、商品、仕掛け、付加事業を考え続けなければなりません。同時に顧客の紹介を受
けるように余裕のある運営を心がけなければなりません。
物流の営業活動は専門部隊が必要なモノではなく、現場に誰かを連れてきて説明するのが
もっとも効果的です。その誰かは、今のお客様のお友達が一番なのです。
我々の仕事を理解してくださり、ご評価いただけるなら紹介先を教えてくださるのに苦労は
いりません。何かの機会にご招待すれば、現場と我らの仕事ぶりを見て、知っていただくこと
で中途半端な提案書は無用になります。
●顧客満足の証拠はどれだけ売上に執着しているか
売上は顧客の支持、利益は知恵と改善の結果。そうやって割り切った現場では、常に顧客の
業界情報が必要です。何が売れて、誰が調子がよいのか。どんな競合がいて、新商品は何か。
顧客の話題でいつも会話が弾むのが本当の顧客志向の経営といえるでしょう。真理も答えも会
社の外にあるのですから。この記事へのコメント
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筆者紹介
花房 陵
イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。 -
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