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  • ブログ・花房 陵

    5.会計基準とは何か、どんな影響があるか

    2010年9月21日

     
     
     

     

     最近の新しい制度は、はっきり言って物流活動とは縁遠いものが多かった。というより、無理やり物流部門への業務負荷が増えるものばかりだった。

     PL法やISOとは、製造責任や流通工程での商品品質と業務活動そのものの証明や規定になっていた。個人情報保護法だって、物流部門にとっては余計なお世話的な問題がのしかかってきた。配送先や取引先の情報が個人情報と定義付けられ、その受領や管理方法まで細かく規定された。個人情報に触れる事務員や作業者は、従事者として認識されて誓約書まで書かされたものだ。

     今度の国際会計基準は、公開企業やその関連会社、株式公開を目指そうとするベンチャー企業にとって決算書の書き方を規定するものだ。

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      会計には3つの種類

    企業にはもともの運営を計画する管理会計というものがある。当月の売上や経費を予算化したもので、通常はこれだけで運営ができる。決算期には税務申告のための税務会計というものがあり、経費の認定がややこしい。交際費を認めないとか、固定資産への支出は減価償却という手法でしか経費を認めず、利益に税率がかかるあの独特の書式だ。

     経営には資金が必要だから、銀行融資や株主への説明の為に利用するのが財務会計という手法で今後はIFRSによって、財務会計と管理会計が一本化される。

     

    ・企業評価のための会計

     企業を評価するための決算書は誰が見ているかというと、銀行融資のための銀行家と証券会社、さらに株式を公開している場合には株主以上に多くのほかの企業が虎視眈々と見ていることがある。つまり、株価的に割安な会社や独特の事業を営む会社を自社に取り入れようとか、M&Aを仕掛けたり、仲介したり、直接買収工作を諮ろうとしている資本家たちだ。

     デフレは売れない時代とは言うものの、貨幣価値が下がってきているから資金で持つより資産を保有したい投資家には企業情報ほど貴重な情報はない。

     中国の富裕家が工場を売買したり、日本の家電量販店を買収するほどに貨幣価値が下がっているのは時代の流れ。

     そのときに世界中の企業を並べて比較するには、日本の会計制度はあまりにも特殊すぎていた。だから今回、資本の流動化を図るために会計制度の標準化が目論まれたのである。

     

    ・物流予算はどう表現されるか

     日本の商習慣は世界でも稀なものが多い。中間流通が複雑という意味は、メーカーと小売店の間にさまざまな卸業が存在していることもそうだし、百貨店の委託販売という消化制度も独特だ。

     物流コストも商品代金に含まれているし、軒先渡しという商習慣も欧米には存在していない。商品代金と輸送費用他は貿易で見られるように別経費となるのが世界標準なのだ。

     今この日本独特の商習慣を修正しようという動きもあるが、それより先に財務会計の制度を整えることに注目が集まってきている。

     多くの物流施設がリース取引で整備されてきているが、一昨年からリース会計は売買契約と同様の扱いをするようになった。

     リース物件は利用者にとってのオフバランスではなく、まさにオンバランスとしてリース資産として計上することが義務付けられている。

     さらにIFRSでは、固定資産の減価償却も初年度に有利な定率法ではなく、定額法に改められる。

     在庫資産は総平均が取り入れられるから、物流現場では徹底的な先入先出し方式が求められる。

     さらに賃貸倉庫や業務委託で物流をアウトソーシングしている企業にとっては、物流契約が5年程度の短期で行われる場合が多く、その際には設備や資産の原状回復費用が通常発生していた。多額の場合には特別損失が計上されてきたが、今後はこれも認められない。

     資産除去債務として毎年の負債に計上しておかねばならないのだ。

     

     物流活動では、売上の認定方法が変わることによる配送伝票の厳格な保管とバックアップ、リース会計の変更、資産の公正価値評価、資産除去債務の認定など、従来とは異なる考え方や運営になることが明らかだ。

     問題は、従前の業務委託契約は予算の確定方法がIFRSによって修正されなければならない点にある。契約とは双方平等のリスクマネジメントであるから、責任と負担、義務と権利の観点から洗いなおす必要があるのだ。

     契約書の見直しなんて、過去の経緯や先輩たちの苦労の結果であって現在の当事者には意識が薄いかもしれない。しかし、制度の変更は契約に直結することの再確認を改めて特記しておきたい。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    花房 陵

    イーソーコ総合研究所 主席コンサルタント
    コンサル経験22年、物流から見た営業や生産、経営までをテーマに 28業種200社以上を経験。業種特有の物流技術を応用して、物流 の進化を進めたい。情報化と国際、生産や営業を越えたハイブリッド 物流がこれからのテーマ。ITと物流が一体となる日まで続けます。

     
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