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ブログ・高橋 久美子
第400回:自己対話が始まる瞬間
2019年5月20日
今週も、トラック20台以下の運送会社のアドラー心理学について話していきます。
前回は「相手の課題を取り上げない」という話をしました。あなたが解決策を提示したり、アドバイスをしたりするのではない、ということでしたよね。相手が無限の可能性を持っていることを信じて、相手に方向を決めさせ、伴走する、コーチングのスタイルです。
1オン1で不満に思っていることやホンネを引き出したら、次は、その人の「理想の状態」を聞いてください。今、不満に思っていることや、不十分だと思っていることが、どんな状態になったらいいのか? それを、質問してあげます。
「こうやったらいいんじゃない?」と、アドバイスするのではなく、「どうなったらうれしいの?」「どうなればいいと思う?」という質問です。
すると相手は、「もっと〇□になればいいです」「もっと、こうしたいです」というように単純な答えを出してきます。
その言葉を、さらにもう少し掘り下げて聞いてあげて下さい。具体的には、「なるほど、〇△さんは、そうなったらいいと思っているんだね」と、いったん受け止めます。その後で、「どうして、そうなったらいいと思うの?」「そうなったら、どうしてうれしいの?」と聞いていきます。
この質問を投げかけてあげることで、本人の思考が、「自分の内側」に向きます。
例えば、「あの人が、こうしてくれたらいい」とか「会社がこうなったらいい」という、自分以外の外的要因に対する不満や理想だったとしても、「なぜ、自分はそう思うのか?」という質問をされた時点で、自分自身と対話をする必要が出てくるわけです。つまりは「自分の問題」になるわけですね。自己対話を始めますから、答えは、瞬時には出てこないことが多いですが、焦らせずに、ゆっくりと考えさせてあげましょう。
ここで出てくる答えを聞くと、その人の価値観や大切にしたいものが見えてきます。
さっき話していた不満や、こうなればいい、という言葉は表面的なもので、不満に思う、またはこうなればいいと思うその背景には、その人のどんな価値観や大事にしている感じ方があるのかが、言葉として顕在化されるわけです。
ここで本人が、自分の口から出た言葉によって、自分の価値観に「気づくこと」が一番重要なことです。
「そっか、〇△さんは、こういうことが大事だと思っているんだね」と、ここで一度、その人の価値観を一緒に確認してあげて下さい。
この価値観に気づくと、最初に答えた「こうなればいい」が、別の形で達成できる可能性に自分で気づく人が多いわけです。
この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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