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ブログ・高橋 久美子
第403回:お金より大事なもの
2019年6月17日
経済成長が鈍化した日本。国民の給与所得が20年前と比較して低い国は、先進国では日本だけです。所得が増えていないので、当然ながら消費も低迷。長いデフレ経済に慣れすぎてしまい、値上げを批判する体質になってしまったことも、経済の鈍化要因の一つです。今の日本には「安くていい物」が溢れ返っていますが、私たちは、以前に比べて「物が欲しい」と思わなくなりました。物質の価値が低くなったというわけです。
しかし、これは角度を変えてみると、悪いことばかりではありません。
「物質」に対しての価値が下がった分、相対的に「物質以外」のものに対しての価値が見直される結果となりました。
「お金より大事なもの」「物ではない、本当の意味の豊かさ」というような価値観です。
特に、ゼロ成長時代に生まれ育った、今まさに社会に出る年代の若者たちは、この価値観が強い世代のようです。
私たち50代から見ると、この世代の闘争心や野心のなさが、ふがいなく感じてしまう場面もありますが、そもそも生まれ育った時代背景が違うのですから、価値観が異なるのは当然とも言えます。どっちがいいとか悪いとかではなく、時代の影響を受けて最適化された価値観が、その時代に育った人々の価値観となるわけです。
ですから、この若者たちの価値観こそが、「これからの時代の価値観」とも言えます。
目に見える物質的価値とは、表面的な「スペック価値」です。例えば、我々の若い頃は「高学歴・高身長・高収入」なんていう「3高」という言葉がはやりました。この時代はまさにスペック価値が重視された時代でした。ところが、今は変わりました。あなたの会社の求人条件も、高い給与が理由で応募してくるのは、我々の年代ばかり。若い年代とは、明らかに選択基準が違うことは、実際の面接現場で、あなたも目の当たりにしていることと思います。
応募者だけではありません。取引先や荷主担当者も、少しずつ若い世代が増えてきているわけですから、こちらがどんな年代であったとしても、「これからの時代の価値観」を知っておく必要があります。時代の価値観を知り、それを理解していなければ、事業がうまく進むわけがないからです。
目に見える表面的なスペック価値が重視されなくなり、人々の価値観は、「目に見えない本質的な価値」を重視する時代に進化しました。別の言い方をすると、「表面を取り繕っても見破られてしまう、ハッタリがきかなくなった」ということです。時代が変わり、ビジネスで「勝つためのルール」も、大きく変わってきました。
この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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