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ブログ・高橋 久美子
第407回:大手も「人で勝負」へシフトする時代
2019年7月15日
「スペックではなく人で勝負する時代」というテーマについて、もう少し掘り下げて考えていきましょう。
例えば、あなたは「花王の顔」というサイトをご存知でしょうか。
今年の春、花王が立ち上げた、一人ひとりの研究者が日々の研究開発活動に、ひたむきに取り組む姿や、開発した技術の魅力などを伝えるサイトです。
今回、花王では画期的な洗濯の技術を発見したのですが、ひと昔前なら「この技術が、いかにすごいことなのか?」と、技術革新そのものにフォーカスをあてて公表していました。
研究者の個人名が表に出ることなんて考えられませんでした。
ところが、今は「花王の顔」で、研究者の個人名を出し、「思い」「仲間」「ビジョン」「情熱」というキーワードで、「人」と「ストーリー」を前面へ出しています。
今の時代は、「この技術、すごいでしょ」と言うよりも、「ストーリー」のほうが私たち消費者に響くからですね。
このように、大手さえも、「技術・スペック」じゃなくて、「人」「ストーリー」に注目させる戦略へ、確実にシフトしています。
「うちの会社は、事故対策をきちんとしています」「うちの会社は〇△認証マークをとっています」「社員教育をしっかりしています」なんていっても、隣の会社も、そのまた隣の会社も、同じ程度のものは持っているわけで、そんなのは、あなたも感じている通り、今や、差別化になりえないのが現実です。
しかし、もしもあなたが、「人」として、取引相手の心を動かし、ファンになってもらえたら…。
ライバル会社が、あなたの取引先に「あの会社より安い運賃で受けます」と話を持ちかけたとしても、「いや、でも、あの会社が好きなんですよ」と言われたとしたら、もはや競争にもならないわけです。現実的ではないと思いますか? でも、「あの会社は、娘ムコの会社だから」というような縁故取引を、あなたも山ほど目の当たりにしているのではないでしょうか。
あなたの会社の「台数」や「取得資格・認証」そして「運賃」での差別化が限界に達し、人々の価値観が「人」にシフトしてきた今、あなたがアウトプットすべきは、「人」の部分です。
あなたがどんな人なのかを、まずは、あなた自身が知ること。これが第一のステップです。そして、それをアウトプットしていきましょう。そうすることで、あなたに共感してくれる人、あなたが付き合いたい取引先と、出会うことができるようになります。
この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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