-
ブログ・高橋 久美子
第111回:運送会社の削ってはいけない経費
2012年4月10日
先日、数人の死者を出してしまった焼肉店のニュースを見て、私は、運送業界のことを考えていました。この事件は単なる「焼肉店の事件」ではありません。中小企業の経営者の、経営戦略ミスが引き起こした事件です。つまり、中小企業の経営者である、私やあなたの事件なのです。業界が違っても、経営者の考え方が同じなら、私にもあなたにも、同じような事件を起こす可能性があるということです。
実は、運送会社の経営者の中にも「安くすることが、荷主にとっていいことだ」と思っている人が少なくありません。しかし、中小企業が大手と同じように価格を下げようとした場合、そこには、あの焼肉店の事件と同じリスクが発生します。特に、トラック20台以下の運送会社が安い運賃で仕事を受けようとするのは、本当に危険なことなのです。
想像してみてください。ある小さな運送会社が、荷主の要望に応えて運賃を安くしているとします。では、安い運賃で受けるために、どの経費を削っているのでしょうか?もしかしたら、人件費を削って運賃を下げているかもしれません。給料の額を下げるというよりも、社会保険や厚生年金をかけていない会社もあります。ひどいところは雇用保険などの労働保険さえ、かけない会社もあるのが現実です。
人件費の他には、どんな経費を削りますか?車両整備の回数でしょうか?タイヤやオイル交換の頻度かもしれません。つまり、これこそが、「削ってはいけない経費」を削っていることになります。「荷主のために安く」と言いながら、事故の危険性を上げてしまったら、「お客のために安く」と言って、死者を出した焼肉店と同じです。
全国中小規模運送会社・経営改善推進委員会代表 高橋久美子
http://www.handlecover.com/kaizen/この記事へのコメント
-
-
-
-
筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
「ブログ・高橋 久美子」の 月別記事一覧
-
「ブログ・高橋 久美子」の新着記事
-
物流メルマガ