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ブログ・高橋 久美子
第213回:オンリーワンと差別化競争
2014年4月7日
「物」が重要だった時代に中小企業のすべきことは、「商品の陳列」と「商品の簡単な説明」でした。この時代は、みんなが「物」を欲しがり、物に価値を感じていました。しかし、物が行きわたり始めると人々の価値観は、別の方向へシフトし始めます。
次にやってきたのは、「個人」や「個性」が尊重される時代です。個人のライフスタイルも多様化します。今までは「30代の独身女性」「50代のサラリーマン男性」など、年代と性別の括りだけでも、ある程度のターゲティングが可能でした。ところが、ライフスタイルが多様化すると、年代や性別だけではターゲットの絞り込みができなくなります。
この個人のライフスタイルの多様化が、如実に反映された市場が「雑誌業界」です。1990年を境に、1雑誌あたりの売上額が激減し、雑誌(特に月刊誌)の種類は逆に急増しました。みんなが画一的に同じ方向を目指すのではなく、いろんな価値観があっていいじゃないか、という流れができていったのです。
個性が尊重されると同時に「1番じゃなくてもいい」「そのままでいい」とか、耳に心地いい言葉が世の中に蔓延します。「個性・個人」が重視された、この時代のキーワードは、「オンリーワン」とか、「ナンバーワンじゃなくてもいい」といったところでしょうか。
この時代に、中小企業に求められたのは「顧客主義」と「差別化」です。「オーダーメイド」「選べるカラー」など、個性重視の時代には、「私だけ」のもの、カスタマイズできるもの、「私らしさ」を感じられるものが、次々にヒットしました。
商品だけに限った話ではありません。我々、運送業界も、今までのように「ただ運ぶだけ」の運送会社では、勝ち残れなくなりました。運送業でも専門性をうたい、「差別化」するという概念が生まれたのがこの時代です。差別化をうたう、付加価値をつけるなど、差別化競争が過熱していきます。しかしその後、また市場は変化の時を迎えます。
次週はいよいよ「これからの時代」について、見ていきたいと思います。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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