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ブログ・高橋 久美子
第318回:どんな要望にも全力で応える(1)
2016年4月4日
「どんな要望にも全力で応える」。この言葉を聞いて、あなたはどんな印象を持ちますか。
私が運送会社で営業をしていた当時、営業力がなかった私は、なかなかいい仕事をとることができませんでした。もらえる仕事があれば、どんな内容でも受けていました。「どんな要望にも全力で応える」という姿勢を見せていれば、いつか誠意が伝わって、利益の出る便をまわしてもらえると考えていたのです。
ある時は、キムチ工場の仕事を受けました。営業に行ったとき、その会社の副社長に、こう言われたのです。「おたくは小さい会社だし、実績も信用もないよね。だから、まずは、きちんと仕事をする会社だ、というところを見せて。そしたら、配送の仕事をまわしてあげるよ」
そうして、最初に依頼された仕事はキムチに使うための大根の皮をむいたり、大根や白菜を大きな漬物樽に並べる作業でした。評価がほしかったので、私もスタッフと一緒に毎日、作業に行きました。
白衣に帽子、マスクをして白長靴を履き、中国からの留学生と一緒に、冷蔵庫の中で行う作業でした。一般の工場勤務者の勤務が午後5時まで。それが終わると交代で、 私たちと中国人留学生が作業場に入ります。夕方から深夜までの作業です。
ところが、一緒に作業をする中国人留学生はサボるのが上手で、重い作業や冷たい水に手を入れる作業を避け、楽な仕事ばかりをします。また、作業の仕方が汚く、作業場の周りを汚します。片言の英語で注意しようとするのですが聞き入れてもらえません。しかし、成果が上がらないと、私達の評価が下がります。ですから私と、うちの会社から連れていった20代の男性スタッフ3人は毎日、必死に作業を行いました。
皮むきを6時間続けると、両腕の感覚もなくなります。冷蔵庫内で冷たい水を使いながらの作業なので、手袋の中の指先も冷え切って、帰宅してお風呂で温かいお湯に手をつけても、しばらく指の感覚が戻りませんでした。
毎日、何百本の大根の皮をむいたのでしょうか。おそらく、今でも大根の皮むきだけは誰よりスピーディーに、きれいにむける自信があります。今だに、時々、大根の皮をむいている夢を見るほどです。さて、1か月が過ぎ、そろそろまじめにがんばる会社だと認めてもらえたかな? という頃のことです。この記事へのコメント
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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