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ブログ・高橋 久美子
第429回:2種類の価値
2020年1月6日
今週も、運送会社が本業を支えるために複数の収入源を構築する方法について話をしていきます。
先週までのタイムチケットなどの実例を目の当たりにすることで、近年の「価値の多様化」について、少しずつ現実的に感じられるようになってきたのではないでしょうか。
タイムチケットのようなサービスが進化する背景には「人間関係の希薄化」が起因していると考えられます。「愚痴を聞いてもらう」「共感してもらう」「悩み事を聞いてもらう」︱︱。現代は、そんな相手が一人もいないという人も多いのかもしれませんね。
友だちがいないわけではなくても「腹を割って話せる相手がいない」または、「ホンネが言えない」という人も増えているのかもしれません。
特に、経営者の中には「人には弱みを話せない」という人も多いのではないでしょうか。
さて、この「価値の多様化」が理解できると、次に「価値には2種類ある」という事実が見えてきます。「実質価値」と「感情価値」です。実質価値とは、誰が見ても同じ、物やサービスそのものが持つ客観的な価値のことです。スペックとして数値化できるものなどが、この実質価値にあたります。
一方、感情価値は、その人が感じる価値のことです。
例えば、あなたの目の前に、「大間のマグロ」の切り身があるとします。一つは、高級な焼き物のお皿に盛りつけられて、手触りと舌ざわりのいいお箸で食べます。もう一つは、紙のお皿の上にポンと乗っていて、割りばしで食べます。
どちらも、まったく同じ大間のマグロですから実質価値は変わりませんが、感情価値はどうでしょう。かなり違ってくるのではないでしょうか。
もう少し別の角度でいうと、手の汚い、汚れた服を着た人が、仏頂面でお皿を運んでくるのと、着物をきれいに着付けた指のきれいな女将さんが笑顔で運んでくるのとでは、どうでしょうか。
実質価値が同じでも、感情価値によって感じるバリューが大きく変わるということが理解できるのではないでしょうか。
実は、人が感じる価値は、「実質価値が3割・感情価値が7割」(人によってはもっと感情価値の割合が大きい)と言われています。ということは…。
この話は、「今ドキの複数の収入源」のみならず、運送業をはじめ、全てのビジネスに応用できる視点です。当然、実質価値が運賃と作業料です。となると、あなたの会社は荷主に、どんな感情価値を提供することができるでしょうか。ぜひ一度、考えてみて下さいね。
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筆者紹介
高橋 久美子
あなたの会社が儲かっていない本当の理由
規制緩和により、夢大きく独立開業した運送会社の社長たち。その社長さんたちが、規制緩和後の業界環境の変化により、今、とても厳しい状況に立たされています。経営不振の影響によるメンテナンスの不備も懸念され、それが引き起こす悲惨な交通事故も、連日ニュースで報道されています。このような危機的状況を受け、中小規模運送会社の根本的な経営改善と救済を目的として発足したのが、私たち「全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会」です。
全国中小規模運送会社 経営改善推進委員会 -
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