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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(308)人材育成について(13)A社の事例(3)

    2020年10月12日

     
     
     

     ・長所を伸ばす

     

     B君は、職場での成長ペースが遅い、入社2年目である。やる気が感じられないというか、覇気にとぼしいタイプである。B君は競馬好きだった。私は個人面談した。「ぼくは競馬が好きです。なぜかというと、動物が好きだからです。そして穴党です。ぼくの人生は穴馬みたいなものだからです。本命になれないのです」。B君は自己を穴馬とみなして、コンプレックスをもっていた。そこで私は提案した。「職場で競馬研究会をつくって、そこのリーダーになったらどうか。最近は女性でも競馬ファンはいるし、呼びかけたら何人か集まると思うよ」。

     競馬研究会のリーダーとなったB君は、生き生きしていた。メンバーにわかりやすいように競馬について解説し、なかなかのリーダーぶりである。いわば競馬研究会ではB君は本命になった。このことは仕事にも反映して、はきはきしてきた。他人に認められ評価されるというのは、やる気を引き出す。趣味のサークルとはいえ、グループリーダーとしての自信が仕事にもつながっていく。好きなものを解放していく、言い換えれば、長所を伸ばしていくことが、その人の自信につながる。B君のケースは、遊びの世界が、仕事につながっていったわけである。

     A子さんやB君のケースで、人材育成のポイントが鮮明になってくる。それは長所を伸ばして、自分が本命というか、主人公になるということだ。仕事の主人公だとの意識が、一人ひとりを成長させるのだ。

     主人公意識は、どうしたら生まれくるか。会社の中だけで考えては狭くなる。小さい頃の育ち方、家庭環境、好きなもの、趣味などをじっくりみて、その人が前向きになっている美点を掘り起こしていくのだ。

     A子さんはコンプレックスのかたまりだった。拒人症というか、コミュニケーション障害の持ち主であった。それだけに、夢があった。通訳である。

     自分の心を、誰にもわかってもらえない、と思い込んでいたA子さんは、それだけに、言葉をわかるようにする通訳とか翻訳の仕事に憧れたのだ。この心は美点であり、これを伸ばすプロセスで、拒人症からは脱出できた。

     B君は仕事に意欲を持てないタイプだった。それが自分の好きな競馬で、サークルをまとめていくことで、めざめてきた。穴馬の人生しか過ごせないと思い込んでいたB君だが、サークルでは本命になって、主人公意識を持つことができた。この経験が、仕事に生きてきたのだ。

     〝一芸に秀でよ〟とよく言われるが、一芸で頭角を表わすことで、自信がつき、その自信が人を成長させるのだ。

     一芸とは、言い換えれば、その人の長所である。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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