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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(334)小集団活動のすすめ方(2)A社の事例2
2021年5月17日
なぜ改善提案件数を増やさなければならないか。この基本的問いに対して答えていかねばならない。パート、アルバイトが主力のA社では、仕事以外にどうしてこんな活動までさせられるのか、不満が根強いのである。
「私は1時間980円の人間よ。何が改善提案ですかいな、そんなことは給料の高い人が考えればいいのよ。」当初は推進員が参画してミーティングを始めてもシしらーとして話がはずまなかった。
そこで賞金制度を導入した。改善提案を実施した1件ごとに500円渡すことにした。金でつるわけではないが、会社の熱意を何とかして表現せねばならない。
推進員は粘り強くミーティングをすすめていった。かくして改善提案を増やすのは、会社のためだけではなく、自分のためでもあるのだと、じんわりと浸透していった。
「サークル進め方研究会」は、推進員の研修を行った。現場で苦労している推進員の動機づけのため、小集団活動のすすめ方について一人ひとりの悩みを聞きながらの研修であった。
こうした活動の手順を踏んで、3か月ごとにサークル活動状況の報告会を開き、活性化への努力を継続していった。そして年間1500件の改善提案、1人当たり約8件の目標を達成した。
このA社の事例から学ぶべきポイントは次の点である。
①活動の中心が必要である。A社の場合は、「サークル進め方研究会」である。活動の中心が自信をもってねばり強く、方向性を示さねばならない。活動の中心をキッチリと支えるのはトップの役割である。
②職場に効果的に推進者をおかねばならない。そして推進者に対して小集団活動の進め方の研修を行い、動機づけていかねばならない。
③小集団活動に対しての感謝を会社はあらわさなくてはならない。感謝は口だけではいけない。賞金制度も有効である。
④活動はステップを踏んで行い、イベントを実施する。A社の場合、3か月単位で全体集会を設定し、年1回の小集団活動を実施している。いわば活動にはリズムが必要なのだ。
⑤目標は必ず達成せねばならない。いくら頑張っても目標に届かなくてはなんにもならない。A社においても大幅に目標を達成した。これは次の活動の源動力になるのだ。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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