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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(344)小集団活動のすすめ方(5)―3
2021年8月2日
A社工場にも悩みはある。人手不足である。しかし、人手の不足を嘆いていても始まらない。今いる従業員のやる気を高めて能力向上を促す方策で悩みにぶつかっている。小集団活動はその悩みにぶつかって前向きに進んでいる。
A社工場は26人の集団である。一人のリーダーを中心としてまとまりやすい単位である。しかし、例え100人、1000人でもこのA社の工場長のような人材がいれば、組織は活性化する。従って、このような人材育成、幹部の育成が組織活性化の必須条件である。50人までの会社であれば、その幹部の役割は社長が担わなくてはならないであろう。いわば〝みんなの小使い〟として働く環境づくりに、活性化している職場風土づくりに先頭に立たねばならない。
従業員30人の運送会社の社長はしみじみと、私に人使いの難しさを語ってくれた。
「私のところには、背中に入れ墨の入った人もいます。よくあいさつが更生したなと感心されるぐらいの人物です。その人物が自分の弟を連れて来てくれて、一緒に働いています。やはり、心のつながりが私とその人物にあるからです。給料が安いと言って辞めた従業員は多くいますが、会社の雰囲気が悪いと言って辞めたり、私の姿勢に文句を言って辞めた者はいません。それが、私の誇りです」
A社の工場長が展開している小集団活動は、いわば誇りの持てる職場風土づくりといえる。そしてその活動の前提には、働いている一人ひとりとの心のつながり、信頼感がなくてはならない。それなくして、いかに小集団活動の技術に長けていても、〝仏つくって魂入れず〟である。
心のつながりは、やはり人生感、価値観の共有ということであろう。いわば全てとはいわないが、共有する部分がなくてはならないのだ。
金の切れ目が縁の切れ目、これも一面の真理であるが、これが全てであってはならない。そのためにこそ、地に足のついたコミュニケーション、その一つとして、小集団活動の継続した展開がある。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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