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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(5)「割増賃金請求権の存在」
2010年6月18日
相手方は、申立人が行った時間外労働に対して割増賃金を一切支払わない(甲第281号証ないし甲第297号証)ので、申立人は第4記載の割増賃金全額の請求権を有する。
なお平成21年2月から、会社の都合で賃金締日が毎月20日から毎月末に、支払いが当月末から翌月末に変更された関係で、3月末に支払われる給与(2月21日から同28日までの労働にかかるもの)が少額となってしまったため、会社からの提案でつなぎの生活費として3月31日付で会社から20万円を借り入れた(甲第290・291号証)。これについては4月から8月分までの給与から天引きで合計10万円、9月分の給与から10万円を返済して、すでに完済している。
労務トラブルは、解雇もしくは退職をキッカケとして勃発する。労働者が会社に対して不満を持って辞めたとする。この怒りをまとめていくのが、通常一人でも入れる労働組合である。争点の多くが割増賃金の未払いである。運送業の労務実態では労働時間の把握ルールが不十分であるため、そのまま把握すると膨大な労働時間となる。
ルールとしてはたとえば、出庫時間は会社が決める。ドライバー任せにすると勝手に早く出て、到着地で仮眠して待機したりするからである。
さらに割増賃金をどのように計算するかのルールも不十分である。労働基準法は時間単価×割増率である。そうすると仕事を早く済ませて効率のいいドライバーの賃金は、効率の悪いドライバーの賃金より低くなる。
経営者としては矛盾を覚える。そこで会社割増賃金という考えがある。時間単価×割増率ではなく、会社の考えで割増賃金を設定する。たとえば売り上げに対して一定率をかけたり、自車収支(利益)に基づいてルールによって会社割増賃金を決めていく。
労働基準法では会社割増賃金の中に法所定の割増賃金を含んでおれば合法である。含んでいなければ、その分を払うということを明記しておく。賃金規定を実態に即して合法的に作成する。そうすれば割増賃金の未払いということでつけこまれることもない。
運送業の経営者は、従来の勘と度胸と経験という3Kではリスクに対応できない状況にきていることを認識すべきである。経営者は労働組合ができると、闘志を燃やして「ナニクソ」と奮い立つことは少数派である。通常はカッとしたり、うろたえたり事業継続に自信を揺らがすものである。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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