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  • ブログ・川﨑 依邦

    労働審判・全面勝利体験報告(6)「パワハラによる損害賠償請求権」

    2010年6月25日

     
     
     

     退職にいたる事情

     平成21年7月初め、過去に違法行為(無免許運転)をしていたことが発覚した社員の処遇をめぐって、申立人と相手方代表取締役たる川?依邦(以下「社長」という)の間で意見が対立し、口論となった。申立人に人事権があるわけではないので、結果としては社長の意向の通りとなった。



     同7月16日、社長からの突然の辞令により、申立人はそれまで大過なく務めていた配車リーダーの任を解かれ、人材派遣部門の現場管理リーダーとなることを命じられた(甲第298号証)。辞令の内容は、1日12時間、1週間で72時間もの労働を強制する違法なもので、成果が出なかったり、意欲がないと判断された場合の降格処分や減給など、負の要因のみを示唆して無用な重圧を与えるものであり、到底前向きな勤労意欲を起こさせる内容ではなかった。

     また、現場管理リーダーの職務として命じられたのは、取引先への営業活動や新規顧客の開拓、派遣社員の手配管理、車両の維持管理など多岐にわたるのみならず、各業務の進捗ないし結果につき異常な頻度での報告義務を、その方法まで指定して課すなど、それまで一介のダンプドライバーとの内勤の経験しかない申立人に対して、量的にも質的にも能力を超えた責任を負わせるとともに、敢えて手間のかかる無駄な作業をも命じる過酷なものであった(甲第299号証)。

     そもそも、12時間の勤務時間をもってしても、この業務内容を完全にこなせる人間が存在するのか疑わしいほどの過密内容で、申立人に重圧を与えることを目的としていたものであることは明らかである。なお、前任の現場管理リーダーは常務取締役川崎晃弘(以下「常務」という)が務めており、畑違いの申立人が担当しなければならない必要性はなかった。

     要するに、この辞令による配置転換は、社長に口答えしたことに対する報復を目的とする不当な人事であった。申立人は能力的にも物理的にも遂行不可能な業務に強制的に従事させられる理不尽さと、その裏側にある社長の黙示の退職勧奨に耐えかね、7月18日、自ら退職を申し出た。

     社長は合意書(甲第300号証)を用意し、申立人の退職を会社都合扱いとすることと引き換えに押印を要求した。申立人は不安や怒りで冷静な判断ができなかったが、再就職までの家族の生活のことを考慮して押印した(申立人が押印した合意書は相手方が保持している)。申立人の不法行為(パワーハラスメント)による損害賠償請求権は後述する通り、労働審判によって否定された。申立人は一つのストーリーを作っている。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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