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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(30)存在しない口論
2010年12月15日
(4)申立人と相手方との間で債権・債務が存在しない旨の合意がなされたこと
この合意については、次の2で詳述する。
2・不法行為について申立人は、従業員の処遇をめぐって申立人が川?社長と口論になったことで、報復目的により、配車リーダーの任を解かれ、違法な人事異動がなされたことが不法行為に該当する旨を主張。しかし、申立人の主張については、次のとおり理由がない。
(1)口論が存在しないこと
平成21年7月4日、酒気帯び運転及び無免許運転行為が発覚した従業員の処遇について、川?社長、川?常務、部長及び申立人の間における幹部会議で協議が行われた。その際、申立人は、他の従業員に示しが付かないとして懲戒解雇を主張したが、最終的に川?社長としては、懲戒解雇は従業員の地位を奪う最も重い処分であるところ、酒気帯び運転は業務中のものではなく、過去の無免許運転行為についても、会社が見抜けなかったということの管理・監督体制の問題も大きいと考えたことから、減給処分とすることに決定した。
このときに、川?社長と申立人との間で、どのような処遇にすべきか話し合いはしたものの、言い合いになるなど、口論というべきものは存在しなかった。
そのため、このようなことで、川?社長が申立人に対して報復人事をするほどの動機にはなり得ない」(答弁書より)
申立人の主張する口論はない。申立人は自己の都合のいいようにストーリーをねつ造している。運送業はコンプライアンス(法令順守)の点でプレッシャーを受けている。とりわけ中小運送業は厳しい。一般的に言って長時間労働体制がある。好き好んで長時間労働体制になっているわけではない。荷主の要請に基づくケースが多い。
荷主と対等に口を開いて交渉できるほど中小運送会社の力は強くない。「うちとの取引が嫌ならいいよ。運送屋の代わりはいくらでもいるよ」とうそぶく荷主担当者も珍しくない。いわゆる荷主との力関係で隷属状態にあるのが中小運送会社の実態である。
それに加えて、労働時間についてのコンプライアンスの重圧がある。そこに無防備のままにしておくとつけ込まれる余地がある。労働者からの訴えである。中小運送会社の経営者は圧制者でもなければ搾取者でもない。荷主との力関係では弱者である。泣き面に蜂の状況に追い込まれる。申立人の描くストーリーではない真の実態を経営者は示すことだ。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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