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ブログ・川﨑 依邦
労働審判・全面勝利体験報告(42)成長させるための人事異動
2011年5月13日
7 申立人に対する人事異動については、川?常務の報告から、配車リーダーとしての業務姿勢に問題があること、特定の運転者の○○氏に幹部会議の内容をメールで漏らしたり、他の運転者より売り上げが多くなるように配車をつけたりなどの問題がありました。
申立人は前身の昌和運輸?のときに労働組合の書記長をしていましたが、組合内部で意見が衝突し、平成19年10月ごろ、労働組合を脱退しました。脱退した際に、申立人とともに組合を辞めたのが、当時副委員長であった○○氏です。意見の対立については、36協定の締結を巡って労使が合意せず、そのため会社側は組合員に時間外労働をさせなかったところ、組合員の賃料が、通常と比較して30─40%も下がったことによるものです。そこで、会社側と早急に妥協して36協定を締結しようと申立人及び○○氏が主張しましたが、組合の多数意見とはならずに脱退することになりました。
一緒に脱退したメンバーとして、申立人及び○○氏は他の組合員から孤立し、互いにあいさつはおろか、口もきかない状態になりましたが、そのため、申立人と○○氏の結束は深まったものと思われます。そして、申立人が配車リーダーとなってからは、○○氏に幹部会議のこと(相手方の経営情報など)をすぐさまメールなどで伝えたり、○○氏に売り上げの上がるような不公平な配車をしました。特に○○氏を配車で優遇していることは、他の運転者からの不満の元になっていました。(陳述書より)
◇ ◇
会社を存続・成長させるには、このままの体制でいいわけがない。じっと手をこまぬいていては衰退する。変わることがキーワードとなる。申立人は変わることを拒否した。ドライバー出身者を幹部に採り立てていくには大きな壁がある。いわゆるドライバー気質から脱皮できないのである。
とりわけコミュニケーション能力に問題が出てくる。一匹狼からチームワークのリーダーへと変身を遂げていくには、それなりの覚悟がいる。今回の人事異動は変身のためのチャレンジであった。中小企業の人事は大企業と比べて、少ないメンバーの中から行う。したがって人事異動をすると「自分の仕事がまずかったから異動させられた」と否定的にとられやすい。経営者にとっては会社をつぶさず、さらに成長させていこうとの狙いで行っている。
ここのところが人事異動する者には伝わらないことがよくある。経営者と働く者とのギャップである。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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