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  • ブログ・川﨑 依邦

    一人でも入れる労働組合がやってきた(17)残業代を払うところなど

    2011年10月14日

     
     
     

     「同時に、これまでの不払い賃金についての遅延損害金として、各賃金支払日の翌日より退職後の最終賃金支払日までにつきましては、商法第514条に基づく商事法定利息(年6%)にて算出した遅延損害金11万5336円を請求するとともに、退職後の最終賃金支払日の翌日から完済にいたるまでにつきましては、賃金の支払いの確保等に関する法律第6条に基づく年14・6%の利率にて算出した遅延損害金(請求日現在8283円)を請求いたしますので、上記不払い賃金とともに支払うよう求めます。



     万一、期限内に上記不払い賃金及び遅延損害金の合計額308万1754円(請求日現在)をお支払いいただけない場合、訴訟その他の法的措置を取らざるを得なくなります。その場合、労働基準法第114条に基づき、不払い賃金と同一額の付加金の請求をさせていただく所存です。

     また、労働基準法及び自動車運送事業関連法規を順守できていない点が多々判明いたしましたので、労働基準法第104条に基づく所轄の労働基準監督署への申告及び所轄の運輸局への通報を検討しておりますことをご通告いたします。

     なお、この書面に対する回答を含め、今後の連絡には書面を利用し、通告人の住所宛に送付するものとし、通告人及び通告人の家族等への直接折衝はご容赦願いますようお願い申し上げます。以上、通告いたします」

     通告書の後半部分である。遅延損害金まで請求している。放ったらかしにすると不払い賃金と同一額の付加金を請求するとある。さらに労働基準監督署や運輸局に行くぞとある。しかもドライバー本人には直接折衝するなと言っている。

     中小運送業の経営の現実からすると、A社長が直面している事態は他人事ではない。入社にあたって雇用契約書を結ぶこと、就業規則や給与規定を整備すること、果たしてどこまでの中小運送業でできているのか。時間外手当の未払いにならないような給与体系になっているか。「運送屋でまともに残業代を払うところなどあるものか」。A社長の思いである。

     それにしてもきっかけは些細なことであった。配車担当者がドライバーとうまくコミュニケーションがとれていて、ドライバーの思いを汲み取っていれば、こんなことにはならなかったかもしれない。配車担当者の言いすぎもあったかもしれない。中小運送業の日々はバタバタし、ドライバー一人ひとりと中身のあるコミュニケーションは中々とれない。「これからどうすれば良いのだろうか」。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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