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ブログ・川﨑 依邦
一人でも入れる労働組合がやってきた(22)「こんなはずでは」と脱退決意
2011年11月18日
「どうして3人の分会員は組合を辞めたのであろうか」。A社長は直接確かめた。元組合員は「組合活動に嫌気がさし、内心びびっている」とこたえた。
元組合員は中心者のBドライバーに勧められて、深く考えもせず組合に入った。憎たらしい配車担当者をギャフンと言わせようと思った。「配車担当者の○○は口のきき方も生意気で、いつも上から目線でやってくる。いつの日かギャフンと言わせたい」。元組合員の思いである。その上、組合入りを勧めてくるBに対する会社のやり方も酷い。事故をしたからといって、処分が重すぎる。これでは安心して働くこともできない。会社の言いなりになって泣きを見る。その上、「賃金カット分を取り戻せるよ。それに残業代の未払いもあるので取り戻せるよ」。Bの殺し文句である。それで組合に入った。
ところが、いつまで経っても事態は好転しない。賃金カット分が戻ってこない。組合によると1人当たり300万円の未払い分があるという。「えっ! 300万円!」と内心びっくりしたが、それもいまだに手にしていない。それなのに組合費○○千円を毎月払っている。「これでは何のために組合に入ったのか。給料が増えるどころか組合費○○千円分、手取りが少なくなっている」。その上、ワンマン社長にも反省してもらい、少しはこちらの言い分も聞いてもらいたいと思っているのに…相変わらずワンマン社長のままである。
組合の要求に一歩も引かず徹底抗戦しているA社長。ついには組合の抗議行動の嵐となる。旗が林立し、街宣車が来る。元組合員は内心びびる。「こんなはずではなかったよ。えらいことになった」。
その上、組合員からは集会に誘われる。日曜日に○○公園で集会がありデモをするので参加してほしいと誘われる。たまの休みにはゆっくりとパチンコでもして過ごそうと思っているのに、しつこく勧めてくる。「こんなはずではない。そこまでやるつもりもない」「ワンマン社長に反省してもらい、配車担当者をギャフンと言わせたいだけだ。集会やデモは嫌だ」。元組合員はかくして脱退を決意する。
「辞めるわ」とBに伝えると、「それはできない。認められない」と、上部団体メンバーと一緒に2時間も説得される。帰ろうと思っても帰してくれない。ほうほうの体でやっと解放され、辞めることができた。
つくづく組合活動に嫌気がさし、内心びびっている。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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