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  • ブログ・川﨑 依邦

    中小運送会社の経営改善の記録(4)経営方針の明確化

    2012年7月20日

     
     
     

     常務は配車担当者から全体の実務統括者となり、元委員長が配車を担う体制となる。そこで一社専属荷主からの転換を図ることとする。



     営業員として、二人目の常駐者を株式会社シーエムオーから送り込む。荷主が1社だけであると、今回のように「解約する」の一言で、たちまち経営ピンチに陥るからである。元委員長を配車に引き上げるにあたって、常務は「労使間で一致団結して経営危機を乗り切ろう」と腹を割って話した。平成19年11月に経営を引き継いで、同20年は労使間の正常化に取り組む年となる。大目標は給与改革で、同20年11月に断行する。

     それまでに本格的に取り組んだのは、コミュニケーション改革である。改革の内容は次の通り。ドライバーとの個人面談の定例化である。管理メンバー(常務、配車担当者、営業担当者)は日々、管理ミーティングを実施する。管理ミーティングとは朝礼と夕礼で、その日の出来事や懸案事項、当面の課題を確認する。リアルタイムに問題を解決するためである。朝礼は毎朝午前6時に管理メンバーで行い、各メンバーの予定や未決事項を確認する。夕礼では、各メンバーの当日の活動報告と明日の予定を確認する。

     会社の哲学を管理メンバー全員で共有するため、企業経営のあり方について哲学書を輪読する。哲学書は京セラの経営哲学である「京セラフィロソフィ」。京セラ創業者の稲盛和夫会長の経営哲学である。日々の輪読で考え方を共通化する。朝・夕礼の最後には必ず社訓の唱和をする。このようなシステムは、コミュニケーション強化を目的としている。さらに会社の進むべき方向性を日々の活動の中で心に浸透させていくことにある。朝・夕礼システムの確立と連動して、経営実績会議の定例化に取り組む。月1回、経営数字を元にどのようにして黒字化するか、筆者を司会者として行っている。コミュニケーション改革は一朝一夕に実を結ぶものではない。繰り返し継続していくことである。

     コミュニケーション改革の大前提には、経営方針の明確化がある。「平成19年の激動を乗り越えて、同20年スタートを切る。船長である私の責任をつくづく感じる。乗組員の生活を守り、荷主に尽くしていくために物流という大海に漕ぎ出す。志は物流業界にあってオンリーワンの存在になること。単に交通事故・クレーム・トラブルゼロを目指すだけでなく、荷主の信頼を勝ち取り、なくてはならない存在になることがオンリーワンになることである」(平成20年の経営方針書より)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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