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ブログ・川﨑 依邦
中小運送会社の経営改善の記録(28)一人でも入れる労働組合は消える
2013年2月1日
急転直下、○○氏は一身上の都合で3月8日に合意書を結んで退職した。2月25日から3月8日までの2週間の嵐である。プレジャーからすると残業代の未払いをつけ込まれることもない。給与規定、雇用契約書があるからである。
それにしてもなぜ「労働組合」なのか。人材派遣やフリーター、アルバイト、いわゆる非正規職の労働問題が世間の注目を集めている。年収200万円以下の労働者の存在がクローズアップされている。そうした非正規職の労働者の駆け込み寺として「一人でも入れる労働組合」がある。プレジャーの○○氏はわずか3か月で駆け込んだ。前の職場で経験したようで「経営者は嘘をつく。労働者を騙す」と言っていた。確かに○○氏のように、さすらっていく非正規職の存在は増加しているように感じる。たまたまプレジャーにいる他の人材派遣ドライバーが、○○氏の労働組合加入の勧めには乗らなかっただけである。中小企業の経営者は政治が分からない。「なぜ年収200万円以下の労働者がいるのか、政治の貧困、悪政による」と言われてもピンとこない。中小企業の経営者は政治どころではない。今日・明日の資金繰りに追われている経営者も多い。
それにしても「一人でも入れる労働組合」の指導部はしっかりしている。東京からやってきた◆◆委員長は風格すら感じさせた。プレジャーの作成した雇用契約書を、それこそ一字一句チェックしていた。並みの弁護士よりも緻密さを感じる。平成23年の一大事「一人でも入れる労働組合」は、あっという間に解決した。しかし、これをきっかけとして、雇用契約書の内容と一人ひとりの労働条件とを再チェックすることとなる。本音を言えば、○○氏については運よくというべきか、雇用契約書を結んでいた。労働時間管理もきちんと行っていた。ほかの人材派遣ドライバーも再チェックすることとする。
インターネットで非正規職の労務トラブルを検索する。出てくる、出てくる。実に問題が多発している。弁護士、司法書士も呼びかけている。「私に相談してください。残業代の未払いは解決します。泣き寝入りはよくありません。1回目の相談は無料です」。今までは弁護士に相談するにしても垣根が高かったが、どんどん低くなっている。労働組合も、かつてのようにオルグを潜り込ませる。じっくりと根回しして、ある日突然、一挙に表面化する。
「知らぬのは経営者だけ」というオーソドックス型は少なくなっている。それこそ入社して3か月の者が労働組合を結成する時代になっている。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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