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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(1)生きる
2013年3月29日
中小運送業を取り巻く経営環境は厳しい。燃料価格はジリジリと上昇し、下がる気配はない。車両購入代も環境面の配慮などで10年前と比べて大幅に上がっている。
大型トラックで約1800万円、4トントラックで約800万円。運送コストは高止まりし、運賃については一向に上昇する気配もない。10年前の運賃水準のままで、場合によっては値引き攻勢で下がっている。その上、ドライバー不足も深刻だ。10年前と賃金水準は横ばい、場合によっては10年前と比べて5%程度はダウンしている。20年前だと、20代のドライバーの賃金は大卒初任給の2倍は普通であった。ところが現在では、20代でも大して違わない賃金水準となっているケースも珍しくない。トラックドライバーの社会的地位は下がっている傾向がある。トラックドライバー職に就きたがらない。労働時間が長い。手積み手下ろしがある。若者は敬遠する。しかも賃金は年功序列ではない。年齢の差はない。「トラックの運転が好きだ」「車が好きだ」と思う若者が減ってきている。かくしてドライバー不足は恒常化する。その上、荷主からはあいさつをしっかりすること、制服はキチンと着用すること、延着はしないこと、商品破損をしないことなど、物流品質ニーズが高い。求められることが単に運ぶことだけでなく、「楽して稼ぎたい」「あれこれ指図されたくない」といったドライバー気質ではやっていけなくなっている。物流品質トラブルを起こすと荷主の態度は厳しい。出入り禁止を通告されたり、場合によっては取引中止に追い込まれる。
その上、コンプライアンスの重圧がある。行政処分は重い。社会保険の未加入はもってのほか、点呼していないと即、行政処分だ。労働時間の規制も厳しい。労働基準改善告示がある。月の拘束時間は293時間、ハンドル時間は4時間に1回、30分休憩すること、仕事と仕事との間は必ず時間を空けることなど。行政処分は車両停止のみならず、事業停止もある。労働法の重圧も大きい。時間外手当の未払い問題が多発している。労基署がやってくる。弁護士から内容証明がくる。「一人でも入れる労働組合」がやってくる。中小運送業は重圧に直面している。経営再生できるのか。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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