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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(5)銀行の粘り

    2013年4月25日

     
     
     

     銀行とは、よく言えば不思議な存在である。



     A社のB/Sを見れば債務超過、ズバリ言って倒産状態である。にもかかわらず何の経営アドバイスもない。せっせと月約60万円の返済を自動振替でしている。自動振替とは銀行に振り込まれてくる得意先の入金でもって支払うことである。「A社長、まず得意先からの入金を別の銀行にして下さい」。背水の陣である。銀行に残高がなければ自動振替はできない。

     金の切れ目が縁の切れ目。銀行というところは金でつながっている。人情は紙風船である。銀行は金しか見ていない。経営数字が全てと言っても言い過ぎではない。赤字が続くと、どんなに人間性のいい経営者でも銀行は避ける。付き合わない。人情紙風船の如く儚いものである。A社長は人がよく、銀行の担当者がふらりと会社に立ち寄ると接待する。銀行の担当者はA社の経営状況を把握するために月次試算表、時には決算書を入手するためにやってくる。

     A社長はコーヒー、ケーキを出して雑談に付き合う。帰りには自宅で採れた野菜まで「これはおいしい大根です。ぜひ持って帰って下さい」と渡す。人が良いとしか言いようがない。

     A社の借入金5000万円は100%保証協会が保証している。銀行は国のふんどしで相撲をとっているようなものである。A社がつぶれても痛くもかゆくもない。せっせと金利を稼いでいる。銀行は人を見ない。数字を見る。数字が黒字となると近寄ってくる。「借りて下さい」としつこく迫ってくるものである。雨の日は傘を取り上げ、晴れの日に傘を持ってくるようなものである。

     「A社長、真摯に銀行交渉する時です」。すでにA社はギリギリの経営努力をしている。A社長は年金暮らしである。役員報酬ゼロ。ところがA社長が電話で銀行の担当者にかけあうと、信じられないことが起こる。「会社が苦しいので返済を止めます。金利だけにします」とA社長が申し出る。すると銀行の担当者は「なんとか返済を続けて下さい」「金利だけにすると会社のランクが下がります」「どうしても無理なら金利を1%上げますよ。たとえ10万円が無理なら5万円でも払って下さい」…何と銀行の担当者は、あの手この手で粘るのである。信じられないことである。A社のランクはここまで来ると元々低い。表面上「正常先」であるに過ぎない。ランクが下がり「経営破たん先」になると貸し倒れリスクが上がる。ところがA社の借入金は保証協会が保証している。(つづく)

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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