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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(12)心の再生〜5Sからスタート
2013年6月21日
「経営再生」とは、まず「心の再生」からスタートする。A社の経営数字は4期連続赤字、債務超過である。
A社長は資金繰りにかけずり回っている。「我ながらつぶれず生きながらえているのが奇跡というか、不思議である」。A社長の心はほとほと疲れている。「できたら辞めたい」「このまま運送業を続けていてもいいものか悩む」。A社長は心を再生することである。?やればできる??トコトンやる?と勇気を奮い起こすことである。会社の足元を見るとボロボロである。心がボロボロである。
事務所の中はタバコの吸い殻であふれている。床は埃だらけで、車もドライバーによっては洗車をきっちり行っていない者もいる。あいさつすらまともにできないドライバーもいるほどだ。5S(整理・整頓・清潔・清掃・しつけ)を徹底的にやることで、心のボロボロを取り除く。
A社長は経営者として自信喪失状態となっている。来る日も来る日も資金繰りのことが頭を駆け巡っている。ここ1年ばかりは社会保険料も消費税も滞納している。ドライバーの給料も一度に支払うことができず、2回に分けて支払っている。こうした経営状況であるので、ドライバーに向かって言うべきことをきちんと言っていない。言うべきこととは、5Sの徹底である。「あいさつをきちんとせよ」「車を大事に使うこと」「燃費効率を向上せよ」…こうしたドライバーへの働きかけができていない。職場は荒れてくる。経営数字が悪いのは結果であり、そこにたどり着くプロセスに問題がある。A社では基本行動が全くできていない。A社長は腹を決める。「借入金は金利のみの支払いになった。今こそ抜本的な経営改善に取り組む時だ」。
月1回、土曜日に職場ミーティングをする。かつては「ドライバーはハンドルを握って働きさえすればいい」と、職場ミーティングはやったことがなかった。テーマは5Sの徹底である。しつけを再教育する。あいさつはしっかりする。その上で個人面談をドライバー一人ひとりと行う。車を大事に扱うこと、燃費を向上することを繰り返し説得していく。「やるだけやってダメならそれまでだ」と、思いを定める。正に経営再生は心の再生で、ドライバー一人ひとりの働く姿勢を変えていくことである。心の再生は5Sからスタートする。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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