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  • ブログ・川﨑 依邦

    経営再生物語(26)経営数字把握力アップ

    2013年10月4日

     
     
     

     中小運送業の経営数字の把握力の現状はどうか。寒い限りである。



     月次試算表(損益計算書、貸借対照表)は税理士まかせで、月末で締めて試算表ができるのは早くて1か月、時には2〜3か月後というケースもまれではない。これでは経営者は古新聞を見ているようである。経営数字を把握・分析し、その上で問題点を掴む。問題をいかに解決していくか、対策を決める。実行スケジュールを決める。こうしたマネジメントスタイルはとりたくてもなかなかとれない。中小運送業の経営悪化のパターンは次の通りである。

     ?荷主から運賃値引きにさらされている
     2007年のリーマン・ショック以降、大幅な運賃値引きに直面している。時には15%以上の値引きといったこともまれではない。荷主からの直取引であったのに、間に物流子会社が介在するなどして実質値引きにさらされている。

     ?燃料費アップの重圧がある
     軽油単価は底値から30?40%程度アップしている。長距離主体の運送会社は燃料費のアップで採算割れしている。走れば走るほど赤字が増えていく。しかも、運賃は一向に上向いていかない。

     ?ドライバー不足が深刻である
     ドライバーが集まらず、入社しても続かない。その上、ドライバーの賃金は一向に上がらない。ドライバー不足で休車している。休車台数のせいで売り上げも上がらない。

     ?借金体質である
     車購入の資金は借金(もしくはリース料)である。資金繰りが厳しいので運転資金がかさむ。保証協会の緊急融資を活用する。いつしか年商の50%を超えているといったケースも珍しくない。「銀行のために働いているようなもの」。こうつぶやく経営者もいるほどである。

     ?営業力がない
     現状を死守することで精いっぱいで、ジリ貧となる。ドライバーが集まらないので減車する。儲からないので撤退する。いつしか保有車両がジリジリと減る。根本原因は現状を守るだけで攻めの姿勢を発揮しないことである。営業開拓しない。「今更、荷物を取りに行っても運賃は安い。するだけ無駄」と決め込む経営者も多い。

     かくして中小運送業の経営は悪化する。突破口はどこにあるか。まず経営数字の実態をスピードをもって掴む。経営数字の現実を直視することである。

     
     
     
     
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  • 筆者紹介

    川﨑 依邦

    経営コンサルタント
    早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
    63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
    中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
    グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。

    株式会社シーエムオー
    http://www.cmo-co.com

     
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