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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(37)営業改革実践シリーズ5
2013年12月26日
?2トン車9台によるルート配送業務を全面受託事例
ルートセールスを行っている荷主企業に?商物分離?に向かう動きが本格化している。今回のケースは荷主の商物分離の動きに乗り、2トン車9台によるルート配送業務を全面受託した事例である。A社は元々、薬品関連のルート配送を行っており、荷主からの物流品質、特に乗務員マナーに対する信頼が厚い。乗務員のしつけについては、しっかりした研修を行っている。そうした状況で、荷主の親会社のルート配送業務を荷主の紹介により行うことになる。ただ、配送の乗務員9人はすべて荷主からA社に転籍することになる(乗務員の賃金はA社の賃金規定による)。
A社では、転籍乗務員の評価選定も任せられることになる。配送業務に?不向き?と評価した場合、転籍乗務員はクビ。非常に重大な役割を担っている。A社の乗務員育成の体制、特に評価システムへの荷主の信頼があり、成立した荷主開拓事例である。
荷主にとって物流はコストである。いかにしてコスト削減していくか、しのぎを削っている。今回、A社がルート配送業務を全面受託した理由の一つに、荷主のコスト削減に貢献するということがある。A社に転籍することで乗務員の賃金は80%ダウンする。一挙に80%ダウンはしない。1か年かけて、親会社がダウンする額を補填していく。激変緩和措置は取る。さらに、荷主のメリットはコンプライアンスにある。運送業は法規制のプレッシャーがあるので、片手間ではできない。そのうえ労務トラブルの危険性もある。ここは何より餅は餅屋に任せる。
決定打となったのがA社の物流品質力の高さである。A社はGマーク(安全性優良事業所)やグリーン経営、ISO14001、9001を取得している。定期的にドライバー研修を行っており、乗務員教育の体制が確立している。ドライバーの育成を目的とする評価システムがある。荷主からの全面受託はコスト、コンプライアンス、物流品質力によって成し遂げられた。中でもドライバーを育成していく力が荷主から評価を受けたわけである。
したがって、荷主開拓の根本は、乗務員の質の向上への取り組みにある。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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