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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(74)経営活性化シリーズ23
2014年10月2日
(23)不採算の仕事に逃げずに立ち向かう勇気を持つ
経営管理者は、一つの業務について採算ラインに乗っているのかどうかを常に把握していなければならない。現段階では赤字仕事でも、知恵と工夫次第では採算ラインに乗るという算段があれば良いが、逆立ちしても難しいと言わざるを得ない仕事が世の中にあるのも事実である。そうした仕事に直面した場合、ずるずると赤字を垂れ流してしまうようなことでは会社業績に大ダメージを与えてしまうことになる。不採算仕事が一つの営業所の売り上げの大半を占めており、撤退することで人員に余剰が出る、休車も発生する、倉庫もガラガラになるという状況下だとしても、赤字垂れ流し仕事を即時に撤退する決断力・行動力を持たねばならない。経営上、赤字を垂れ流してずるずると業務継続するよりも、強い気持ちでもってそれを即座に食い止めること、金を流すことを止めることを優先すべきである。人員、車、倉庫が余剰になっても、赤字垂れ流しよりは新たに収益確保するために全員営業体制を敷くことの方が全体的にはプラスであることを認識しておかねばならない。
こうした判断のベースになるのは、日々収支であり日々ミーティング体制にある。収支資料がすぐ出るようにしておくことは、経営判断をよりスピーディーに展開することにつながる。逆に収支資料がなかなか出ない、日々の業務を通した感覚でしか判断材料がないとなると経営判断としては不十分である。
また、経営判断ができずにずるずると業務継続してしまうケースもある。荷主に対しての情や遠慮といった感情がその根底にある。付き合いが長くなればなるほどこうした感情を完璧に排除することはできない。赤字仕事の撤退を荷主に申し出るためには、日頃から相談できる間柄=コミュニケーションが重要である。具体的には毎月、荷主先に足を運んで収支資料に基づいた月次報告を行う。自社の収支状況や仕事の状況について日頃から荷主に理解してもらうことで、赤字仕事をずるずる継続することなく撤退の行動についても荷主の同意が取り付けやすくなる。
不採算の仕事があっても、逃げずに立ち向かう勇気を持つことである。単に不採算といってすぐさま逃げるのではなく、知恵と工夫を働かせていく。そのためには荷主交渉の勇気を持つことである。今こそ足元を見つめ、不採算の仕事について立ち向かうときである。
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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