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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(135)物流子会社の生き残り作戦〈事例B〉(2)
2016年12月2日
〈社内には緊張感なし〉
B社長のやる気は空回りし、孤立して?裸の王様?状態である。ジリジリと財務状況は悪化し、B社の職場風土は暗くなるばかりである。職場風土の現実は次の通り。?親会社の出向組とプロパー社員との反目の深まり
「どうせ親会社のバッジを水戸黄門の印籠にしているだけだ。この苦しい時こそ何とかするのが
親の役目だ。親らしいこともせずに偉そうにするな」とプロパー社員。
「とにかく面従腹背が染みついている。文章一つ、レポート一つ書けなくて、実にレベルが低い。危機感もない。親方日の丸根性丸出しだ」とB社長。?配車部門と乗務員とのコミュニケーション不足
「なんという効率の悪い配車をするのか」—-。乗務員は配車部門に対し不平不満を高めている。
「うちの乗務員は楽をすることしか考えていない。サボリ集団、手抜き軍団である」—-。配車担当者の嘆きである。?物流品質の悪化、事故の多発
荷主からはクレームが続く。誤配、延着が一向に減らない。ついには、ある荷主から取引中止を通告され、同業の大手運送会社に仕事を取られた。それでも依然として社内の空気はたるんだままである。「仕方ない」と、B社長の危機感は空回りするばかりである。?傭車管理のズサンさ
傭車に対する運賃を値引きし続けている。荷主からの運賃値引きをそのまま傭車にしわ寄せしている。傭車先も悲鳴を上げている。配車担当の不正も発覚する。ある傭車先が、配車担当者に裏でリベートを渡していた。「こんなに運賃ダウンではやっていけません。なんとかして下さい。実は、配車担当者に裏でリベートを渡しています。配車担当者の要求で長年続けてきました。これをやめさせて下さい」。傭車先からの告発である。運送収入が対前年比で30%ダウンしているが、その内訳は自車で40%、傭車で15%のダウンである。自車の稼働率が大幅に悪化している。平たくいえば、自車を遊ばせて傭車を活用している。「どこの会社の配車をやっているのか。傭車先の回し者、スパイか」とB社長は怒る。その裏でリベートを取って、会社を食い物にしている。
こうしたB社の職場風土の現状改革が急務である。親会社の出向組とプロパー社員との深い反目、配車部門と乗務員とのコミュニケーション不足、物流品質の悪化、事故の多発、傭車管理のズサンさ—-。これらの現状に対する抜本改革が危機を乗り切るキメ手である。 -
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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