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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(152)小集団活動の実践〈事例A〉
2017年4月21日
〈ギャップを埋める〉
(1)定例のミーティングは週1回行う。時間は60〜90分。この定例化はA社にとっては強い決意のいるところであった。ちょっと気が緩むとウヤムヤになってしまうのである。「仕事が忙しい」「メンバーが集まらない」。職場ミーティングができなくなる理由はいくらでもある。「どんなことがあってもやる」との強い決意がいるわけである。
(2)事前の準備。テーマごとにミーティング資料を準備する。オアシス運動ではオアシスチェックリストである。一人ひとりが1週間分チェックしてミーティングに臨む。
オアシスチェックリストの内容は、?ハキハキと大きい声でオアシスができたか?オアシスは何のためにするか分かっているか?呼ばれたら「ハイ」と返事ができたか?分け隔てなく誰とでもオアシスできたか?オアシスの必要性について同僚に呼び掛けたか—-というもの。
このチェックを本人と、相互評価として小集団メンバーが、職場ミーティングの席で行う。自分ではできたと思っていても、他人の目からするとそうでもない場合がある。ギャップがある。乗務員の中には「オレはハンドルを握って働くためにここに来たのに、なにがオアシスか。小学生みたいなマネはしたくない。どうして車に向かってオアシスするのか。知らない人がみたら『こいつはバカか』となるよ。普通でいいんじゃない。ヨーと手を挙げるだけで十分」という者もいる。
それに対して、ミーティングで深めていくわけである。自分たちの仕事はハンドルを握るだけではないこと、いわゆるサービス業であることを確認する。サービス業の基本はあいさつにあることを知らしめていく。「われわれ乗務員の仕事は、ハンドルを握ることだけではない、ハンドルを握ることで荷主にサービスをしているのだ。荷主に、安全・確実・スピードという運送サービスを提供することで成り立っている。だから車に向かってオアシスするんだよ」。ギャップを埋めていくプロセスとして、職場ミーティングを活用する。そのためのチェックリストである。
車のスピード運動では、タコグラフのチェックが事前準備となる。社速オーバーの理由について追及していく。
「高速道路では車の流れというものがあって、とても90??では走れないよ」
「だけど君は120??も出している。せめて100??は超えるなよ」
スピードの抑制は、燃費効率の向上にもつながっていくことを示していく。
「社速をしっかり守っているものと、そうでないものとでは、燃費データがくっきり違う。スピードの出し過ぎは燃費のムダ、命の危険ということだ」
清潔・クリーン運動では、実施状況チェック報告書を活用する。グループ単位で清潔・クリーン運動に取り組む。「トイレの掃除をどうしてやらねばならないのか。おれたちはドライバーだ。そんなことは掃除のおばさんがいるじゃないか」。反発に対して粘り強く説得していく。「サービス業の根本はクリーンにある。いつも使うトイレをピカピカにすることは、心をピカピカにすること」
荷主満足度向上運動では、クレーム報告書を、事前準備として活用し、クレームの原因を追及していく。クレーム項目としては製品の破損、積み忘れ、下ろし間違い、延着を取り上げてデータを集計している。データ集計に基づいて原因を追及し、対策を立てていく。職場ミーティングには事前準備が肝要。A社でいえばオアシスチェックリスト、タコグラフチェック(燃費効率データ、清潔・クリーン実施状況報告書、クレーム集計表)ということになる。 -
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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