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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(164)トップコミュニケーション〈事例A〉
2017年8月3日
〈心開かせる気配り名人〉
5人の幹部は必死である。A君、B君は独身なので、通常はコンビニ弁当が食事パターンである。「よく続きますね」と問うと、「仕事は趣味です。そう思って働いています。社長を裏切りたくないのです。社長に付いていくだけです」。A君、B君はお金の管理まで、トップに任せている。お金の管理とは、生活費を除いて、給料のすべてを託していることである。トップは預金通帳を保管している――というわけである。全身全霊での信頼関係である。カリスマ的としか言いようがない。◎共感性
トップは優しい。よく声を掛ける。絶妙としか言いようがない。相手の気持ちを読み取る能力がすごい。気配り名人と言うべきか。A君、B君は独身なので、食事を心配して、よく一緒に食事をする。営業所のリーダーにもよく声をかける。とにかく、グルグル現場を回る。よく気が付く。ほんのちょっとしたことでも、ピンとくる。察しがいいのである。恐いけど優しい。一人ひとりが「社長は自分のことを気にかけてくれている」と心から思っている。
年末の12月は、特に忙しくなる。A君、B君は家にすら帰れなくなる。文字通りの一日24時間の勤務が続く。社長は心からコミュニケーションをする。演技ではない。自分で熱いお茶を入れて一人ひとりに配る。「大丈夫か。一月になったら一杯飲もう」とか、「手伝うことがあったら、何でも言ってくれよ。何でも手伝うよ」とか、「これで元気を出せ。マムシドリンクは体に効くぞ」とか……。
相手の心を開かせていく力がすごいとしか、言いようがない。
トップは勉強は好きではなかったが、中学校の先生が言ったことを心に刻んでる。それは創業して10年目、苦労の連続で「もうやめよう。もうやめよう」と思い悩んでいたとき、中学校の先生に会いにいって、教えてもらった言葉である。
「いい先生というのは、子供にとって『頼りになるもの、信頼できるもの』―――というイメージを与えているよ。先生に対して、子供がそういった信頼というイメージを持つと、必ず安定感が生じ、自信を持ち心のゆとりを持って、伸び伸びしてくるものだよ。経営者も一緒ではないですか。子供に自信を持たせていくことが、先生の役割です。毎日毎日が大切ですよ。一つ成功すれば子供と一緒に喜び、失敗すれば励ましていく。そして、人間としての暖かさと人間としての深い知恵とか力とか、なくしてはなりません。そうすれば、子供は安心し切って学習し、自分の力を作り出し、自力を付け、自信を持っていくようになります」 トップは中学校の先生の言葉から、共感性を学んだといえる。(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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