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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(208)逃げずに立ち向かえ〈事例A〉
2018年7月23日
〈社長にも限界が…〉
組合が結成されて2か月経過した秋には、A社長は入院してしまった。心労が重なったからだ。経営者が出てこない団体交渉で、A社長の代わりに妻が出席する。それに代理人の弁護士である。組合も振り上げたこぶしの収まりがつかない。
組合いわく「貴社においては○△支部□◯分会を公然化し、一方的な賃金ダウン、一時金のカットの撤回を求めてきました。貴社は団体交渉には応じるものの、○□弁護士を代理人とするなど、責任ある対応を回避しています」
A社長は経営者たることを捨てた。入院である。全く出社してこない。結局、組合を結成して1年余りでA社は倒産した。経営者不在なので当然である。A社長からすれば、労働組合が結成された時点で経営意欲を喪失したわけである。
トラック20台の運送業者として、荷主の運賃値引きに耐えて今まで頑張ってきた。乗務員も年間3000時間に及ぶ長時間労働に、よく踏ん張ってくれた。時間外手当は払わない。歩合給中心である。これで今まで何ら問題がなかった。それなのに賃金カットが原因で会社は立ち行かなくなってしまった。もともとやっていけないから賃金カットをしたのに、元に戻してやっていけるはずはない。「万事休す」である。A社はつぶれるべくしてつぶれた。
(つづく)
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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