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ブログ・川﨑 依邦
経営再生物語(217)親分肌のリーダー〈事例A〉
2018年10月15日
〈壁を突破する信念〉
トップいわく「うちは引っ越しはやっていませんが、たまに荷主から引っ越しの依頼があります。親分肌のリーダーはどうするか。〝よし、やります〟と言って部下を連れていく。日曜日の引っ越しです。1人に1万円ぐらいずつ、その場で手当として渡します。残りを懐に入れるのは、親分肌ではありません。残りをパッとみなのために使える男が、人の心をつかむのです。引っ越しは本業ではないので、会社の売り上げに計上しなくても、わたしはとがめだてしません。ただ、残りを懐に入れる男は許しません。残りをパッとみなのために使える男、飲み食いするもよし、積み立てて旅行に行くもよしです。こうした親分肌のリーダーが物流業にとっては要るのです」
「ここのところが、大企業から来た本社スタッフが分からなかったところです。うちの会社は組織で動くところまで、いっていないのです。人のつながりで動くのですよ。言ってみれば、男の約束は法に優先するといった世界です」
今回の異変は、親分肌不在の組織が招いたものであった。心のつながりが薄れていた。トップは反省する。
「後継体制ということで、現場に足を運ばなくなって、コミュニケーションが深く取れていなかったなあ。自分でやれば何とかなる。しかし、いつまでもオレ1人で引っ張っていって、それでいいのだろうか。組織を大きくし過ぎたか、理想に走りすぎたか。小ぢんまりとした集団に変えていくべきか。どうしたものか」
この悩みこそ家業、生業からスタートして、小企業になり中堅へとたどり着いた時、前方に立ちふさがる壁である。トップの個性でもっているのが、中小企業の現実である。大きくするとデキモノのごとく壊れていく。トップの思いが伝わらなくなる。トップの思いの共有化の密度が薄くなる。壁の突破はどうするか。奇手妙手は浮かばない。
答えは、トップの信念である。トップの信念が「進むこと」にあるとしたら、必ず壁は突破できる。何回も何回も頭をぶつけていく中で、道は開けていく。闘いをやめないこと、そのガッツを発揮すること、この信念が道を開く。経営道は人生そのもの、生きること、そのものである。「投げたらおしまい」なのである。
以上
この記事へのコメント
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筆者紹介
川﨑 依邦
経営コンサルタント
早稲田大学卒業後、民間会社にて人事・経理部門を担当し、昭和58年からコンサルタント業界に入る。
63年に独立開業し、現在では『物流経営研究会』を組織。
中小企業診断士、社会保険労務士、日本物流学会正会員などの資格保有。
グループ会社に、輸送業務・人材サービス業務・物流コンサルティング業務事業を中心に事業展開する、プレジャーがある。
株式会社シーエムオー
http://www.cmo-co.com -
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