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ブログ・野口 誠一
第15回:倒産の前触れ第10条/家族や従業員に笑顔がなくなったとき
2004年2月17日
倒産の前ぶれ15カ条の第9条「夫婦仲が悪くなったとき」と、第10条「家族や従業員に笑顔が見られなくなったとき」は、いずれも経営に危機が迫りつつあることを示すシグナルである。
その信号に気付かず、あるいは無視して運転を続ければ、いずれ倒産に衝突することは目に見えている。中小企業経営者にとって、妻は最大のパートナーであり、共同経営者といっても過言ではあるまい。妻が会社の業務や経営にタッチしていようといまいと、その助言や忠告には真摯に耳を傾けるべきであろう。なぜなら、夫の最大の理解者は妻に他ならないのだから。
八起会にはさまざまな経営相談が持ち込まれるが、私はその相談の過程で必ず2つのことを聞くようにしている。
1つは「そのことを奥さまと話し合われましたか」であり、もう1つは「奥さまはそのことに賛成されましたか」である。なぜそんなことを聞くかというと、アンケート調査の結果、倒産者の圧倒的多数が自らの失敗を「独断専行」「妻や家族の反対を無視」と認めているからである。妻が反対したらやめることーーこれが八起会の鉄則である。
経営者は苦境に陥れば陥るほど冷静さを失っていく。そして焦る。そんな状態での判断や決断は、ほとんどが悪あがきに等しい。そして墓穴を掘る。そこをカバーできるのは、夫の長所と短所、資質と性格、能力と手腕を知悉する妻を措いて他にあるまい。
いくら隠しても虚勢を張っても、妻は見抜く。それは社員・従業員とて同じこと、社長の態度や言動からすべてを見抜く。組織で動く大企業ならいざ知らず、中小企業は「社長の顔色」で動くと言っていい。それゆえ、中小企業経営者は常に、家族や従業員の在りようをバックミラーで覗きながら、安全運転を心がけねばならないのである。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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