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ブログ・野口 誠一
第59回:倒産防止第9条・欲はほどほどに
2004年7月1日
「再起の条件15か条」の第9条は、「欲はほどほどに」である。
「カルメン」を書いたフランスの作家メリメは、「女と影法師は追えば逃げるし、逃げれば追いかけてくる」と言っている。私はそれをもじって、「欲と影法師は追えば逃げるし、逃げれば追いかけてくる」と言うことにしている。別にシャレるつもりはないが、欲というものは影法師同様、自分の身にぴったり寄り添っていながら、決して意のままにならないしろものだからである。私はかねがね、「自分の欲を上手にコントロールできる人だけが人生の成功者になれる」と信じている。
以前、八起会のメンバーのうち創業経営者だった約300人に、「あなたは会社を設立して何年後に倒産しましたか」というアンケート調査を行ったことがある。その結果、第一位は「5~10年後」で、以下「10~15年後」「15年~20年後」と続き、「5年未満」は最下位だった。これはいったい何を意味しているのだろうか。思うに、創業当初は誰しも必死に努力するし、その必死が5年も続けば、よほどいい加減な会社でない限り、大方は軌道に乗るということであろう。が、倒産は軌道に乗ったところでやってくる。なぜか。
原因は2つ、油断と大欲である。経営にとって5年などほんの一里塚にすぎないのに、軌道に乗った安心と自信からふっと気を抜く。その気のゆるみに乗じてくるのが油断である。安易に名誉職を引き受けたり、名士気取りで外車にゴルフに接待にとうつつを抜かしていると、アッという間に経営は傾く。まさに「油断大敵」である。一方、無欲・小欲で軌道に乗せたはずなのに、そのことを忘れると「大欲」を生じやすい。大欲は無理を呼び、無理は破綻を招く。小欲は身を立て、大欲は身を滅ぼす。「欲はほどほどに」とは、そのことにほかならない。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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