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ブログ・野口 誠一
第120回:夫の心得10か条 あせるな、くさるな、くじけるな
2004年12月29日
「逆境を乗り切る夫婦の心得20か条」のうち、「夫の心得10か条」の第9条は、「あせるな、くさるな、くじけるな」である。
この「あせる」「くさる」「くじける」は、倒産会社社長に共通する心情。以前の幸福といまの不幸とのギャップが大きすぎて、心のバランスが取れなくなった結果である。そういうときは何も考えず、ゆっくりと心を休めるしかない。
私は倒産直前・直後の経営者に対して、決して「頑張りましょう」などと励ましはしない。ヘタに励ますとあせるからである。冷静さと心のバランスを欠いているときにあせっては、ろくな結果を招かないからである。あせればあせるほど詐欺にひっかかったり、甘い儲け話にとびついては傷を深くする例は枚挙にいとまない。そこで私は「いまは人生の踊り場です。とりあえずひと休みしましょう。カエルだって柳にとびつくときは腰をためるんですよ」とアドバイスすることにしている。逆境にある人に必要なのは、励ましよりも愛情である。
八起会メンバーのなかに、すばらしいご夫婦がいる。倒産したご主人を責めもせず、奥さんは2人の子どもを前に「いままでお父さんにぜいたくさせてもらったんだから、今度は私たちがお父さんに恩返しする番ですよ」と説き、自らすすんでパートに出て働き始めた。それを見て2人の子どももそれぞれにアルバイトを始め、3人で生活を支えた。その間、ご主人はくさることも、くじけることもなく心の傷を癒し、やがてかつての仲間とともにIT産業を立ち上げ、再び経営者に返り咲いた。わずか1年半後のことである。
たいていの奥さんはご主人の倒産を責め、「これから、どうして暮らしていくのよ」と生活苦を訴えるが、それはご主人のあせりを誘い、逆効果である。この記事へのコメント
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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