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ブログ・野口 誠一
第154回:美容サロンの大成功
2008年2月1日
Fさんは、いわゆる苦学生だった。東北の片田舎から上京し、赤ちょうちんでアルバイトをしながら学業と生活を両立させた。
そんな彼の努力をどこかで見ていたのか、卒業を間近に控えたある日、店のオーナーに「私ももう年だ。きみに店を譲ってもいい。やってみないか」と声をかけられた。
すでに就職は決まっていたが、サラリーマンにそれほど夢を抱いていたわけでもない彼は、思いきって赤ちょうちんを選んだ。昭和45年、23歳のときである。
学生からいきなり赤ちょうちんの親父になったはいいが、やはりアルバイトと経営者の違いを思い知らされた。
利益が上がらないわけではないが、いろいろな要因によって良かったり悪かったりと、いっこうに売り上げが安定しない。まさに水商売である。
そんな不安定さに基礎をおく限り、将来の展望は開けないと考えた彼は、真剣に転進を模索しはじめた。
サラリーマンの道を蹴った以上、どうしても商売で成功しなければならないと心に決めていたからである。
やがて転機が訪れた。あちこちに張ってあった情報網に、美容サロンがひっかかったのである。彼は即座にピンときた。
同50年、彼は東京・新橋に美容サロンをオープンした。これが予想をはるかに超えて図に当たった。
折からの高度成長、女性の社会進出、そしてファッション・ブームがひとかたまりとなって押し寄せ、彼の美容サロンは千客万来、業績が飛躍的に向上していく。
彼はブームを一過性のものとは考えていなかった。美しくありたいという女性の願望が続く限り、そしてそれを支える経済力が続く限り、美容サロンはますます発展、成長していくに違いないと確信していた。
このとき、彼の事業カンは冴えていたといっていい。 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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