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ブログ・野口 誠一
第173回:夫婦愛と家族力
2008年6月13日
その後、Sさんは奥さんに促されて債権者の一人ひとりを訪ね、謝罪してまわった。あるところでは「馬鹿野郎」と言われた。別のところでは「二度と来るな」と言われた。さらに「そんな面など、二度と見たくない」とも。
ところが、なかに1人、Sさんの経営手腕を惜しむ債権者がいて、「もう1度やってみないか。スポンサーになるよ」といわれ、平成12年、免責となったところで、Sさんは再び新会社を立ち上げた。
2人でまわった夫婦愛の勝利と言っていい。Sさんが1人だけだったら、どうなっていたかわからない。そしていま、Sさんは再起と幸せ探しのまっただなかである。
NHK番組「生きてこそ人生幸あり」は、こうしたSさん一家の家族力と夫婦愛を、余すところなく伝えてくれた。Sさんは番組に出演後、八起会の会報「YAOKIネットワーク」に次のような一文を寄せてくれた。
「八起会に入会して6年になりました。会長をはじめ会員のみなさまには、毎月の定例会などで再起への力と、生きていく感動をいただいております」
「このたび、NHKの『生きてこそ人生幸あり』に出させていただきましたが、はじめはどのように放送されるのだろうかと、ずいぶん心配しました。しかし、会長の言われた通り、NHKは真面目に誠実に私の経験と現状を伝えてくれました。感謝しています」
「私の命は妻と娘、その2人の愛情によって、この世につなぎ止められたものです。そのことを、その生きる幸せを、1人でも多くの人に伝えられたならば、私としては望外の喜びです。妻も娘もテレビを見て泣いていました。その2人に支えられ、私はいまも頑張っています。経営は順調です。それもこれも生きていたからこそと、改めて妻と娘に感謝しています」 -
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筆者紹介
野口 誠一
八起会 会長
株式会社ノグチプランニング 代表取締役
昭和5年 東京生まれ、日本大学卒業。
昭和31年 25歳で玩具メーカーを設立し、従業員5名・月商150万円でスタート。 わずか5年で従業員100人・年商12億円を売り上げるまでに成長させる。
しかし、ドルショックと放漫経営がたたり、昭和52年に倒産。自宅や工場などの全資産を処分して負債を処理し、会社を畳む。
翌53年、倒産経験者同士が助け合う倒産者の会設立を呼び掛け、『八起会』を設立。
弁護士や税理士、再起に成功した会員らが無料で電話相談に乗る『倒産110番』を開設。
再起・整理などの実務的なアドバイスや経験談を交えた人生相談を無料で奉仕している。
昭和59年 株式会社ノグチプランニングを設立し、再起をはかり、執筆活動や全国各地で講演活動を展開している。
平成28年2月18日 東京都内の病院にて逝去、享年85歳。
HP:https://yaokikai.com -
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